| 研究課題/領域番号 |
18K05486
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| 研究機関 | 岐阜大学 |
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研究代表者 |
柳瀬 笑子 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60313912)
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| 研究分担者 |
長岡 利 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50202221)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | ウーロン茶ポリフェノール / 高分子ポリフェノール / カテキン / ウーロン茶 |
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| 研究実績の概要 |
高分子ポリフェノールの構造解明を目指し、本年度は、発酵茶製造過程の変化について解析を行った。発酵過程の変化を追跡することにより、高分子化に関わる化合物を見出すことができると予想した。昨年度の計画で、NMRを用いた解析を予定していたが、感度の問題で予想とは異なる結果であったため、当初本年度予定していたLC-MSによる分析を先行して行ってきた。そのため、サンプリング方法、分析条件等は昨年度にすでに決定しており、その方法を用いて行った。1番茶、2番茶、また2か所の生産地でそれぞれの加工段階（生葉、萎凋、揉捻、発酵、乾燥）におけるサンプルを抽出し、LC-ESI-MS測定を行った。得られたデータから、処理の過程で変化している化合物を見出すために多変量解析の手法を用いて分析した。その結果、多数の候補化合物が検出されたが、それらの中で、由来の異なるサンプルで共通して観察されているもの、MS/MS分析によってカテキン誘導体で見られるフラグメントピークが検出されるもの等、いくつかの条件で絞り込みを行うことで現在5つの候補化合物を見出している。これらのうちの一つは紅茶中のカテキン酸化物であるテアフラビン類であったことから、酸化反応によって変化しているものが選択できていると考えている。
また、NMRを用いた方法についても引き続き検討を行った。既知のカテキン酸化2量体とウーロン茶高分子ポリフェノール画分のHMBC(２D NMR)解析を行った。カテキンでは見られない高磁場領域のプロトンと低磁場領域の１３Ｃの相関が観察され、新たな結合が生成している可能性が示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、高分子ポリフェノールの中間体と推測される候補化合物の構造決定を予定していたが、構造の決定に至らなかった。現在のところLC-MS/MS解析により、それらの化合物がいずれもカテキン由来であることは見出しているが、データベース検索では該当する化合物が見当たらなかった。そのためこれらはこれまで注目されていない新規物質である可能性が高いといえる。構造決定のためには、それらを単離しNMR等の機器分析を行う必要がある。しかしながら、各サンプルの量が少なく現在のところ解析に十分な量が得られていない。そのため、これらの化合物を集めるべく、カテキン類と酸化酵素によりそれらの化合物が生成する条件を検討している。
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| 今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であるため、現在候補に挙がっている化合物の構造決定を完了したいと考えている。現在のところ、機器分析に必要な量が十分に得られないという課題がある。これについては、以下の3つの方法を検討する。①少量でも茶葉に確認されるものについては、分離を検討する。②カテキンを用い、茶葉由来の酸化酵素を用いたモデル反応により調整する。③生葉の揉捻処理を大量に行い、そのサンプルより単離する。これらのいずれかで解析に必要な量(5mg-)は得られると考えている。①及び③の方法からは、比較的確実に化合物が得られると考えている。②の方法を確立できれば、原料の構造情報があるため構造解析は十分可能であるまた、同時に高分子化のモデル反応を確立し、解析していく上で良いヒントとなると考えられる。さらに、これらの化合物にカテキンのモデル酸化反応生成物について、リパーゼ阻害活性を指標に機能性の評価を行う。これにより、機能性と結合様式の関係を明らかにする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初予定しいた中間体候補化合物の量が十分に得られず、NMR等の機器分析に至らなかったため、その使用料の一部が残った。これについては、今年度機器分析による構造解析を予定しているためその使用料に充てたいと考えている。
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