研究課題/領域番号 |
18K05491
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
榎本 俊樹 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70203643)
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研究分担者 |
笹木 哲也 石川県工業試験場, 化学食品部, 専門研究員 (00504846)
道畠 俊英 石川県工業試験場, 管理部, 次長 (10504855)
小柳 喬 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (20535041)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒスタミン / 魚醤油 / 除去 / キレート樹脂 / タンニン酸 |
研究実績の概要 |
タイ産、ベトナム産、カンボジア産、日本産の魚醤油17種類に含まれるヒスタミン濃度を測定した結果、各魚醤油に27.1~416 mg/mLのヒスタミンが含まれていることが分かった。 これら17種類の魚醤油からヒスタミン濃度の高い9種類を抜粋し、吸着剤を用いてヒスタミン除去を行った結果、魚醤油によって差はあるものの、タンニン酸(関東化学)、強酸性陽イオン交換樹脂(SK1B、三菱ケミカル)、活性炭(富士フィルムワコー)、ベントナイト(ホージュン)で高いヒスタミン減少率が得られ、特にタンニン酸処理とSK1B処理の両処理を併用することで、40~70%程度のヒスタミンを効率よく除去できた。これらの結果から、タンニン酸処理とSK1B処理の併用は、魚醤油のヒスタミン低減化に特に有効であることが明らかとなった。また、魚醤油によってタンニン処理後とSK1B処理後で、ヒスタミンの減少率が異なることから、魚送油中のヒスタミンの存在形態は複数あることが示唆された。 魚醤油の遊離アミノ酸含量に及ぼすヒスタミン除去処理の影響について検討を行ったところ、魚醤油原液、タンニン酸処理後、タンニン酸+SK1B処理後で、全体的な遊離アミノ酸含量は若干減少したが、主要なアミノ酸に大きな差は見られなかった。この結果から、タンニン酸処理+SK1B処理によるヒスタミン除去は魚醤油の呈味成分に影響を与える可能性は低いことが示された。 さらに、魚醤油から微生物を単離・同定しヒスタミン資化菌の単離を試みたが、有用な資化菌は見いだせなかった。 以上より、微生物を活用したヒスタミン除去には至らなかったが、タンニン酸処理とSK1B処理の併用により魚醤油のヒスタミン濃度は大幅に減少させることができる技術を確立することができた。
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