研究課題
フルクトースは清涼飲料⽔水等に利⽤用され、誰もが⽇日 常的に摂取する天然⽢甘味料である。ヒトにおいてフル クトース過剰摂取は不妊の原因となる卵巣機能障害 (多嚢胞性卵巣症候群)を引き起す可能性が指摘され、 その摂取と⽣生殖機能低下との関連が⽰示唆されている。近年のフルクトース消費量の爆発的な増加に伴い、 妊婦の摂取量も増加している。フルクトースは胎内循 環を介し⼦子どもへ移⾏行行することが知られている。しかしながら、次世代の卵巣機能に及ぼす影響は不明である。そこで本年度は卵巣機能に必須なエストロゲン合成に対する妊娠期・授乳期のフルクトース摂取の影響を解析した。そして離乳直後のメス仔ラットの血中エストロゲンを定量した。その結果、フルクトースを摂取した母獣から生まれた個体の血中エストラジオール量は低値を示すことがわかった。この現象は卵巣でのステロイドホルモン合成に関わるタンパク量の発現量低下で説明可能であった。
2: おおむね順調に進展している
妊娠期フルクトースの継世代毒性を、女性ホルモン合成という観点から解析することができた。また、その分子メカニズムについてもある程度示すことができた。以上のことから妊娠期のフルクトース摂取は次世代の生殖機能に影響を及ぼす可能性が考えられる。
今後は以下について検討する。1 母親の過剰なフルクトース摂取は仔の卵巣でエピジェネティックな変化を引き起す。2遺伝⼦子発現変化やそれに伴うタンパク発現の変化によりエストロゲン合成能が変化する。3幼少期に正常な卵巣発達がなされず、成熟後の卵巣機能が害される。
ラット性周期解析を行う予定だったが実施していないため。次年度に性周期解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal of Nutritional biochemistry
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doi: 10.1016/j.jnutbio.2019.01.016.
Life Sciences
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