研究実績の概要 |
(a)ビフィズス菌B. longum subsp. longum JCM 1217 のゲノム中に見出されたGH43遺伝子クラスターBLLJ_1850ーBLLJ_1853について、それぞれの遺伝子をクローニングし、大腸菌で組換え酵素を発現させ、基質特異性を明らかにした。BLLJ_1850はアラビノキシラン側鎖のα1,2-またはα1,3-結合のアラビノフラノース(Araf)に作用したが、二重置換の構造に対しては作用しなかった。一方、BLLJ_1851は二重置換の基質に作用し、1残基のAraを遊離した。BLLJ_1852はアラビナン側鎖のα1,2-まはたα1,3-結合のArafに、BLLJ_1853はアラビナン主鎖のα1,5-結合のArafに作用し、両者は協調してアラビナンを分解した。これらの酵素群は、それぞれ異なるα-Araf残基を認識して、協調的にアラビノース含有糖鎖に作用して分解することを明らかにした。 (b)マクロファージ細胞株にリポ多糖(LPS)を処理して炎症状態を惹起させたところ、LPS除去後の数時間にオートファジーの活性化ピークが観察された。このときのオートファジーは、AKT/mTOR依存的であり、飢餓応答と同様であった。次に、炎症時のマクロファージを飢餓処理したところ、炎症性サイトカインの産生が抑えられた。また、免疫沈降法により、選択的オートファジーに関わるアダプタータンパク質p62と、炎症シグナル伝達において重要なTRAF6が相互作用することを明らかにした。TRAF6とp62は常時結合していたが、炎症反応の終息時にTRAF6-p62複合体量が減少した。ポリフェノールの1種であるレスベラトロールもオートファジーを活性化し、炎症性サイトカイン遺伝子の発現を抑制した。以上の結果は、オートファジーを活性化することによる新規の抗炎終息機構の発見である。
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