研究実績の概要 |
前年度には、ビフィズス菌B. longum subsp. longum JCM 1217のゲノム中に存在するGH43遺伝子クラスター(locus tags BLLJ_1850-BLLJ_1854)のうちBLLJ_1852とBLLJ_1853について解析し、論文化した。今年度は、BLLJ_1850 (BlArafE)とBLLJ_1851 (BlArafD)をクローニングし、基質特異性を明らかにした。 BlArafEとBlArafDはいずれも合成基質pNP-α-L-Arafに対して作用するexo-α-L-アラビノフラノシダーゼであった。BlArafEはアラビノキシランに作用し、アラビノキシロオリゴ糖を用いた解析からα1,3-Arafに作用することが示唆された。点変異体の解析から、これらの活性はN末端側のGH43 subfamily 22 (GH43_22)ドメインによるもので、C末端側のGH43_34ドメインの酵素活性は検出できなかった。BlArafDはアラビノキシランとアラビナンからアラビノースを遊離させた。オリゴ糖を用いた解析により、α1,3-Arafとα1,2-Arafで二重置換されたアラビノキシロオリゴ糖のα1,2-Arafと、アラビナン主鎖のα1,5-Arafに対して作用することがわかった。点変異体の解析から、N末端側のGH43_UC (unclassified)ドメインが二重置換構造のα1,2-Arafに、C末端側のGH43_26ドメインがα1,5-Arafに作用することが明らかになった。これらの結果から、BlArafEのN末端側GH43_22ドメインとBlArafDのN末端側GH43_UCドメインが協調してアラビノキシランの二重置換構造を分解することが明らかになった。BlArafDのN末端側GH43_UCドメインは新奇の基質特異性の酵素であった。
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