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2018 年度 実施状況報告書

食用油脂による低膜透過性化合物の消化管吸収促進機構の解明とその評価法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K05495
研究機関摂南大学

研究代表者

片岡 誠  摂南大学, 薬学部, 准教授 (00340860)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード中鎖脂肪酸トリグリセリド / 吸収促進 / カプリン酸
研究実績の概要

平成30年度は当初の研究計画通り以下の項目について検討した。
1)中鎖脂肪酸含有トリグリセリド(MCT)の消化と遊離した中鎖脂肪酸による吸収促進作用の検証
これまでの知見では、ラット消化管にMCTを投与することで同時に投与された難吸収性物質の消化管吸収が著しく増加することを確認している。本年度はこの吸収促進作用に関する検討を行った。MCTとしてカプリン酸およびカプリル酸を多く含有するココナッツ由来油(ココナードML)を、また、Fluorescein isothiocyanate-Dextran 4,000 (FD-4)を難吸収性物質のモデルとして用いた。まず、膵リパーゼによるMCTの消化性を明らかにした。その結果、今回使用したMCTは極めて速やかに消化されることが明らかとなり、その消化率も5分以内に80%以上であった。さらに、予め膵リパーゼにより処理したMCT溶液にFD-4を添加したもの、あるいはMCT溶液にリパーゼを投与直前に添加したものをラット消化管に投与したところ、両条件下ともにこれまでと同程度のFD-4の吸収性増加が確認された。さらにリパーゼ阻害剤であるセチリスタットを添加した場合、MCT非添加時と同程度のFD-4血漿中濃度推移が確認された。さらにこの遊離脂肪酸による吸収促進作用の持続性に関して検討を行った。MCT溶液を消化管に投与した後、30分後または60分後にFD-4溶液を投与したところ、MCTと同時投与よりも著しくFD-4の吸収性が低下していた。以上のことからラット消化管内に投与されたMCTは内因性の膵リパーゼによって速やかに消化され、カプリン酸およびカプリル酸が遊離され、この中鎖脂肪酸の吸収促進作用によってFD-4の消化管吸収性が増大したと考えられた。また、遊離中鎖脂肪酸による効果は一時的であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績に記載した通り、当初の研究計画通り順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成30年度は概ね当初の研究計画通りに遂行できている。したがって、本年度以降においても当初の研究計画通り以下の項目について検討する予定である。
1)MCTおよび種々吸収促進剤による生体異物の消化管吸収性変化の検証
MCT摂取と食物アレルギー発症などとの関連性について精査する。具体的には、臨床上問題となるような生理活性物質(インスリンやオボアルブミン)を用いて、MCT摂取によるこれら生理活性物質の消化管からの吸収におよぼす影響を明らかにする予定である。
2)低膜透過性化合物の消化管吸収性に及ぼす吸収促進作用を有する化合物の影響の定量的評価法の確立
研究代表者らが考案しているin vitro経口吸収評価システムを基盤として、MCTの消化により生じた遊離脂肪酸による吸収促進作用を定量的に評価しうる手法の構築を目指す。本in vitroシステムは、消化管内での化合物の溶解性(管腔側)と(漿膜側への)膜透過性を同時に評価することができるため、管腔側での膵リパーゼによるMCTの消化と漿膜側への化合物透過におよぼす遊離脂肪酸による吸収促進作用を精査する。同時に本システムに適用する生体膜や膵リパーゼ濃度の最適化等を行い、必要に応じてシステム形状の再構築を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

概ね研究計画通りに予算執行出来ているが、消耗品購入時に生じた誤差のため1群分の実験動物が購入できなかったためである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 消化管のバリアー機能に及ぼす中鎖脂肪酸トリグリセリドの影響2018

    • 著者名/発表者名
      坂ノ上加奈、片岡誠、南景子、東野晴輝、山下伸二
    • 学会等名
      日本薬剤学会第33年会

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公開日: 2019-12-27  

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