業務用炊飯米では、外側にはある程度の硬度があり、一方で食べる際の食感として内側は軟らかく適度な粘りをもつことが望ましいとされている。代表的な業務用米について、炊飯米の物性を過去二年間の栽培試験と合わせて解析したところ、良食味品種であるコシヒカリに比べて、複数年次において硬い品種や、粘りが少ない品種の存在することを統計的に明らかにした。また、穂肥を追肥した場合としていない場合の、二つの施肥条件による炊飯米の物性を比較したところ、追肥によって複数年次で炊飯米の硬さが有意に増す品種や、粘りが増す傾向にある品種があり、品種により施肥応答に違いがあることが示された。 アミロース含量について、これまでに行われていなかった方法での詳細な分析を行った結果、年次間差がみられた品種とそうでない品種が存在したことから、気象条件の影響を受けやすい品種と受けにくい品種があることが考えられた。また、詳細なアミロース含量と、炊飯米の硬さと粘りについて相関を認めることができ、炊飯米物性を規定する要因であることを示唆する結果が得られた。 業務用米に必要な特性として、外側が硬く内側が柔らかいという外交内軟特性が挙げられており、笑みの絆はこの特性をもつ品種とされている。テンシプレッサーを用いた解析から、笑みの絆は他の業務用米品種に比べて特徴的な物性値を三年間示したことから、この特徴が外交内軟特性の生じる一要因であることが考えられ、業務用適性を評価する上での一つの評価指標になる可能性が示唆された。
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