研究課題/領域番号 |
18K05502
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
足立 はるよ (中嶋はるよ) 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (20595962)
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研究分担者 |
八村 敏志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40238019)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 食物アレルギー性小腸炎 / 消化管アレルギー / IL-4 / 活性化T細胞 / CD69 / 記憶T細胞 / OVA23-3マウス / 卵白アルブミン |
研究実績の概要 |
今年度も経口投与された卵白アルブミン(OVA)に反応しアレルギー性小腸炎を起こすモデルマウスにおいて、腸炎惹起性のCD69を発現する記憶T細胞が骨量減少の誘導に果たす役割の解明を目的とし実験を進めた。しかし自粛期間マウスの繁殖を停止したこと、自粛前に作成した卵白食の質が悪く進行は滞った。すなわち日本大学より昨年度供与された無菌OVA23-3マウスをSPF化し従来の形質の確認を行ったが、3代目でようやく体重に関し結果が再現した。しかし、目的とする卵白食投与群における骨髄中のIL-1betaの産生が観察されなかった一方で、CD69を発現する記憶T細胞のリンパ系組織における有意な増加は再現できた。従って今後抗体投与実験を再開する。さらに、サイトカイン産生パターンの解析結果から、このアレルギー性小腸炎に併発する骨量減少の発症機構におけるCD4+T細胞が産生するIL-4の役割の解明を目的として以下の実験を行った。マウスはRAG2遺伝子欠損OVA23-3マウスとBALB/cを交配させて得たF1マウスを用いた。IL-4の機能抑制には抗IL-4抗体を用いた。その結果抗IL-4抗体は腸炎は抑制できたが、骨量減少は完全には抑制できず、両者に対するIL-4の影響は異なることを明らかにした。さらに骨髄でIL-4を産生する細胞はCD4+T細胞以外の細胞にもあること、活性化T細胞を抑制する抗体の投与によりCD69陽性T細胞も含む活性化T細胞が骨量減少に関わることを示した。以上より、本研究ではCD69分子の関与を証明できなかったが、骨髄中で活性化する記憶T細胞がIL-4以外の分子を介し骨量減少を開始・維持させること示すことができた。本研究は他のT細胞性に骨量減少を併発する炎症性疾患でも、記憶T細胞の炎症形成に対する役割が共通する可能性を示唆した点で今後の治療・発症機構の解明に重要な成果となった。
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