研究課題/領域番号 |
18K05503
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
前島 大輔 信州大学, 医学部, 特任講師 (20715130)
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研究分担者 |
河合 佳子 信州大学, 医学部, 特任教授 (10362112)
林 もゆる 信州大学, 医学部, 特任助教 (60548147)
大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 特任教授 (80020832)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水分摂取 / 腸リンパ / IL-22 / 長鎖脂肪酸 / 血漿アルブミン |
研究実績の概要 |
小腸壁の微小・リンパ循環は多臓器と明らかに異なり、細静脈壁から血漿蛋白、殊にアルブミンの多量な漏出による組織膠質浸透圧の上昇を作り、水分や水溶性物質の腸リンパ系への吸収効率を高めている事を証明した。 私共はさらにラットを用いた動物実験において腸管壁に新しく発見された自然免疫関連リンパ球(Innate Lymphoid cells: ILC)の内、ILC-3が特異的に小腸上皮細胞間に分布し、水分の胃内投与によりこのILC-3より分泌されるサイトカインIL-22が水分摂取により多量に腸リンパ液中に発現してくる事を発見した。 上記の動物実験結果をもとに、ヒトでの臨床研究を実施し、ヒトの腸リンパ流量を仰臥位の状態で腹式呼吸を行ない、乳び層から胸管へ流出するリンパ流の増加として把握できる事と、この胸管リンパ流量の増加を血液の希釈度と血中バゾプレシン濃度の低下として把握できる事を証明した。さらにこのバゾプレシン濃度の低下率と年齢・性差・体重より算出した循環血液量を用いて胸管リンパ流量をヒトで求めることが出来る事を証明し、特許を申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私共はこれまでウサギ・ラットの動物実験において胃内腔へ水分を投与すると数分足らずで腸リンパ流と腸リンパ流中の血漿アルブミン・長鎖脂肪酸の増加と腸リンパ中のサイトカインIL-22濃度上昇という新しい事実を発見した(Nagashio S et al, Am J Physiol, 2019)。
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今後の研究の推進方策 |
こうした研究成果をもとに腹式呼吸による乳び層の刺激作用を利用してヒトでの腸管壁を通した食品吸収効率を評価する方法と食品摂取時の腸管免疫機能変化をヒトの唾液中サイトカイン濃度変化を用いて解析する方法の開発を次に実施する予定である。
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