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2019 年度 実施状況報告書

葉酸摂取量の調節による免疫機能制御方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K05507
研究機関千葉科学大学

研究代表者

岡本 能弘  千葉科学大学, 薬学部, 教授 (40261036)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード葉酸 / 4型葉酸受容体 / 制御性T細胞
研究実績の概要

制御性T細胞(Treg細胞)は生体内において過剰な免疫応答を制御する機能を担う免疫担当細胞の一つである。Treg細胞膜上には4型葉酸受容体(FR4)が高発現していることが報告されているが、その生理的意義は不明である。生体が摂取した葉酸はTreg細胞上のFR4を介してTreg細胞機能に何らかの機能変化を及ぼすことが想定される。本研究は葉酸摂取量がTreg細胞の機能や分化に及ぼす影響とその分子レベルでの機序を解明することを目的としている。昨年度までの研究により葉酸過剰摂取は、内在性Treg(nTreg)においてその分化と機能を制御するマスター転写因子であるFoxp3発現を亢進し、Treg細胞の免疫抑制能を亢進する可能性を示唆する結果を得た。
今年度の研究では、葉酸過剰摂取がnTregのFoxp3発現を亢進する分子メカニズムを明らかにするため葉酸欠乏食、葉酸過剰食による遺伝子発現の変動についてマイクロアレイ分析を実施した。健常マウスを葉酸過剰飼料あるいは葉酸欠乏飼料で一定期間飼育した後に脾細胞リンパ球の遺伝子発現の変動をマイクロアレイで解析した結果、葉酸過剰飼料接種群では2倍以上の発現亢進のみられた6個の遺伝子、2倍以上の発現低下がみられた2個の遺伝子を明らかとした。これら葉酸摂取状況により発現変動する遺伝子の中にはimmunoglobulin joining chain immunoglobulin joining chain 、heme oxygenase 1 、lysozyme 2など免疫機能に深く関連すると考えられる遺伝子も含まれていた。以上の結果から、葉酸摂取量が免疫システムの制御に影響を及ぼす可能性が考えられた。今後、これらの遺伝子発現変動とTreg細胞の機能との関係について詳細に解析し、葉酸過剰摂取により誘導されるFoxp3発現を亢進させるしくみの解明につなげる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り葉酸過剰飼料あるいは葉酸欠乏飼料で一定期間飼育したマウスにおいてサンプルをマイクロアレイ(Filgen Array, Filgen, Inc)による網羅的遺伝子発現解析に供した結果、葉酸過剰摂取条件飼育によって 2倍 以上発現上昇する6個の遺伝子、2倍以上発現低下する2個の遺伝子が見いだされた。これらの中には発現上昇する遺伝子としてimmunoglobulin joining chainなど免疫系に関連の深い因子も含まれていた。一方、葉酸欠乏条件では2倍以上発現上昇する遺伝子として30個、2倍以上発現低下する遺伝子として3個が見いだされた。葉酸欠乏条件においては、2 倍以上変動する遺伝子としてlymphocyte antigen 96 やinducible T cell co-stimulatorなど欠乏条件においても免疫系に関連の深い因子が複数含まれた。以上の結果から葉酸摂取量が免疫システムの制御に影響を及ぼす可能性が考えられた。2020年度は、葉酸過剰摂取、あるいは欠乏により遺伝子発現変動を確認した各因子についての先行研究の調査を実施し、さらに各因子のmRNAとタンパク質発現についてin vitro および in vivo試験により確認を進める予定である。

今後の研究の推進方策

葉酸過剰あるいは葉酸欠乏飼料にて健常マウスを一定期間飼育した場合に制御性T細胞の量的変化が生じることを明らかにした。さらに葉酸過剰摂取、あるいは欠乏により遺伝子発現が変動する因子を見出した。2020年度は、葉酸過剰摂取、あるいは欠乏により遺伝子発現変動を確認した各因子についての先行研究の調査を実施し、さらに各因子のmRNAとタンパク質発現についてin vitro および in vivo試験により確認し、葉酸摂取によるTreg細胞分化、および機能調節の仕組みを明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 葉酸過剰摂取による制御性T細胞分化の修飾2020

    • 著者名/発表者名
      岡本能弘
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会

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公開日: 2021-01-27  

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