研究実績の概要 |
目的:今年度は、Ochrobactrum anthropic,以外の腸管および体内に存在する細菌の有無を検討するために、分離培養し、同定を行った。その後4種(A. tubingensis, A. flavus, P. chrysogenum, C. cladosporioides)のカビと共培養しその抗真菌作用について検討した。 方法:ムナビロヒメマキムシ虫体の懸濁液全量を抗黴培地平板で培養し,BLASTにより同定した。12ウェルのマイクロプレートに、単離した2菌株の培養液を入れ、それぞれ4種類のカビ(A. tubingensis, A. flavus, P. chrysogenum, C. cladosporioides)の胞子液と共培養を行った。コントロールとして、胞子懸濁液を加え、各ウェルの培養液に発育したカビの発育面積から発育率(カビ発育面積/ウェル面積:%)を計測し、発育阻止については、発育率から4段階で評価を行った。培養液に成分解析はS.olivaceusを代表として、LC/MS-Mを用いて産生物質のスクリーニングを行った。結果:糞から分離された菌株は、Streptomyces.olivaceusおよびS.pacumであった。A. flavusに対しては両株ともに原液においても発育阻止は見られなかったが、C.cladpsporioidesおよびA.tubingensis 対して原液および10倍希釈において 顕著な発育阻止活性が見られた。 これらの結果から、真菌の種類による効果はあるが虫に寄生する2菌種には真菌の発育阻止活性があることが明らかになった。つぎに発育阻止活性のある成分を測定した結果 Emodinが検出された。Emodinは抗真菌作用があることが報告されているので、虫に寄生する細菌がこの抗真菌物質をだして、真菌を殺菌していることが示唆された。
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