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2018 年度 実施状況報告書

ビタミンDの新規生理作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K05511
研究機関帝塚山学院大学

研究代表者

楠堂 達也  帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (00460535)

研究分担者 向井 貴子  帝塚山学院大学, 人間科学部, 助手 (60701464)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード褐色脂肪細胞 / ビタミンD / 抗肥満
研究実績の概要

申請者らはビタミンDの新規生理作用として褐色脂肪分化促進作用を発見した。本研究ではビタミンDの褐色脂肪分化メカニズムや生理的意義を明らかにすると共に、応用化に向けた分子基盤を構築することを目的とし、(1)ビタミンDによる褐色脂肪分化メカニズムの解明(平成30-令和元年度)、(2)ビタミンDアナログを用いた構造機能相関(平成31-令和2年度)、(3)ビタミンDによる褐色脂肪化の個体レベルでの検証(平成31-令和2年度)を行う。平成30年度は当初の実験実施計画に従い、(1)の項目に関して、マウス間葉系幹細胞株C3H10T1/2を用い、ビタミンDが褐色脂肪分化作用を発揮する条件(濃度、添加時期、添加期間)の検討を行った。ビタミンDが褐色脂肪分化促進作用を発揮する濃度は活性型ビタミンDの生理的濃度である50-250 pMであった。添加時期に関しては、分化期間を通してビタミンDを添加した場合と、分化誘導開始から48時間のみ添加した場合では効果はほぼ同じであった。一方で分化誘導48時間以降に添加した場合では効果は見られなかった。従って、ビタミンDはC3H10T1/2細胞の褐色脂肪分化に対して分化初期に影響することが明らかとなった。また、白色脂肪細胞のモデル細胞である3T3-L1細胞を用いた解析を行い、ビタミンDの作用が褐色脂肪細胞特異的な分化促進作用であることを確認した。(2)の項目については平成31年度以降を予定していたが、4種類のビタミンDアナログに関して検討を行い、その内3つに活性型ビタミンDと同様に褐色脂肪分化促進作用があることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では、(1)ビタミンDによる褐色脂肪分化メカニズムの解明、(2)ビタミンDアナログを用いた構造機能相関、(3)ビタミンDによる褐色脂肪化の個体レベルでの検証を柱として研究を進める。平成30年度は実験実施計画に従い、(1)を中心に実験を行い、ビタミンDが褐色脂肪化を誘導する濃度、添加時期、添加期間等を明らかにした。(2)に関しては、平成31年度以降の実施予定であったが、一部を繰り上げて実施した。また、(3)についても、褐色脂肪組織が活性化、過形成される寒冷環境下におけるビタミンDの作用を検討するために、小動物用温度調節機能付チャンバーを設置し実験準備を整えた。以上より、研究はおおむね順調に進行していると判断した。

今後の研究の推進方策

平成31年度は昨年度に引き続き、(1)ビタミンDによる褐色脂肪分化メカニズムの解明、(2)ビタミンDアナログを用いた構造機能相関、(3)ビタミンDによる褐色脂肪化の個体レベルでの検証を柱として研究を進めていく。(1)ビタミンDによる褐色脂肪分化メカニズムの解明:ビタミンDが分化の初期段階に作用することが明らかとなったことから、初期段階を中心に解析を進め分化初期マーカーの発現に対するビタミンDの働きを検討する。また、ビタミンDの生理作用は核内にあるビタミンD受容体を介する経路と、細胞膜上の膜受容体を介する経路が報告されている。受容体のノックダウン実験やシグナルタンパク質のリン酸化状態を検討することにより、本作用におけるビタミンDの受容メカニズムを明らかにする。(2) ビタミンDアナログを用いた構造機能相関:さらに多くのビタミンDアナログについて褐色脂肪化作用を検討し、立体構造と作用の関連性を解明していく。(3)ビタミンDによる褐色脂肪化の個体レベルでの検証:褐色脂肪化におけるビタミンDの作用を個体レベルで明らかにするために、ビタミンD欠乏食、あるいはノックアウトマウスを利用した動物実験を進めていく。また、褐色脂肪組織は寒冷時に活性化、過形成され、寒冷耐性獲得に必須の働きをする。そこで、本年度設置した小動物用温度調節機能付チャンバーを用いた寒冷耐性実験を行い褐色脂肪分化とビタミンDの関係を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

理由
本年度予定していたビタミンD応答遺伝子群解析のための費用を次年度に繰り越した。
使用計画
次世代シーケンスによる遺伝子解析費用に充てる。

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公開日: 2019-12-27  

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