研究実績の概要 |
我々は、様々な抗酸化物質や食品成分が活性酸素の一つであるフリーラジカルを消去する能力を評価する方法(ARAC法)、同様に一重項酸素を消去する能力を評価する方法(SOAC法)、フリーラジカルにより酸化されたビタミンEを再生する能力を評価する方法(ATREC法)を開発してきた。本研究では、これらの方法を食品の抗酸化活性の評価方法として実用化することを目的とした。 オリーブオイルなどの市販されている8種の食用油及びそれに含まれるビタミンE類のフリーラジカルや一重項酸素の消去反応速度を測定して、ARAC値とSOAC値を得た。食用油のフリーラジカル消去反応速度は、含まれるビタミンE類の濃度にそれぞれの反応速度を掛けた値の和にほぼ等しくなった。しかし、一重項酸素消去反応速度は、含まれるビタミンE類の濃度にそれぞれの反応速度を掛けた値の和よりも大きくなった。これは、食用油に含まれる脂肪酸やカロテノイドなどの別の成分が一重項酸素消去に貢献しているためであった。 8種類の食用油にユビキノール-10(還元型コエンザイムQ10)やエピガロカテキンガレート(EGCG)を添加してARAC値を測定し、フリーラジカル消去活性は元々含有している抗酸化剤(ビタミンE類)と添加した抗酸化剤の活性の単なる和になるのではなく、抗酸化剤同士が相互作用し合ってフリーラジカル消去において相乗効果を示すことを明らかにした。 ヒト血清を溶媒として用いて食品成分の抗酸化活性の測定を行って均一溶媒やミセルと比べて抗酸化能力がどのように変化するかを測定した。 ARAC,SOAC,ATREC値のデータベースを構築して備考に述べるURLで公表している。酸化防止剤の定性的な抗酸化活性の評価を高速に得るために、階層型ニューラルネットワークを用いた機械学習leave-one-outを行い、ARAC値とSOAC値を予測した。
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