ヒトの腸内細菌を有するヒトフローラマウスを試験に利用した。ケルセチン食群(19Q群)には、0.05%ケルセチンを含むガンマ線滅菌ペレット試験食を給餌した。ケルセチン-レスベラトロール食群(19QR群)には0.05%ケルセチン-0.1%レスベラトロールを含むガンマ線滅菌ペレット試験食を給餌した。19Q群と19QR群のいずれのマウスにも変法GAM寒天培地で嫌気培養し、滅菌PBSに懸濁してあらかじめストックしたケルセチン分解菌19-20を一日一回経口投与した。投与は週に3回行った。飼育試験後解剖を行い、内臓脂肪重量を測定し、肝臓、盲腸内容物、血液、大腸、小腸を採取した。盲腸内菌叢のDNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いて腸内菌叢の構成を解析した。また、盲腸内容物の短鎖脂肪酸を測定した。内臓脂肪重量は二群間で有意差は認められなかった。血漿トリグリセリド、総コレステロール、NEFA濃度については、二群間で有意差は認められなかった。肝臓の脂質含有量、トリグリセリド含有量は二群間で有意な差は認められなかった。しかし、血漿ケルセチン代謝物濃度(ケルセチン+イソラムネチン)は、19QR群が19Q群に比べて有意に高値を示した。19QR群の血漿にはレスベラトロールが検出された。盲腸内容物の短鎖脂肪酸測定の結果、酢酸、酪酸、プロピオン酸のいずれも19QR群が、19Q群に比べて有意に高値を示した。レスベラトロールをケルセチンとともに摂取すれば、ケルセチンの吸収が高まる可能性が示された。
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