スクロースのグルコース残基を様々な単糖に置換した各種のスクロースアナログ2糖を糖質分解酵素の糖転移反応を利用して合成し、それらのプレバイオティクス機能の評価を行っている。昨年前半までの研究において、合成したスクロースアナログ2糖はヒト腸内由来の特定の種のビフィズス菌を増殖させることが分かった。このことから、スクロースアナログ2糖は従来にない性質を持ったプレバイオティクスとして開発できる可能性が示された。また、スクロースアナログ2糖の一種であるN-アセチルスクロサミンを良く資化し増殖するBifidobacterium pseudocatenulatumについて、本2糖による増殖のメカニズムと本2糖を分解する酵素について調べ、それらを特定することができた。 昨年は、同じくスクロースアナログ2糖により良く増殖したBifidobacterium infantisについて同様な研究を行い、スクロースアナログ2糖による本菌の増殖メカニズムについて、B. pseudocatenulatumの場合と同様に、cAMP-CAPシステム依存的なβ-フルクトシダーゼの生産が本菌の増殖に密接に関与していることを明らかにした。 また、様々な属と種のヒト腸内由来の細菌株を混ぜて培養した混合培養系において、N-アセチルスクロサミンやスクロン酸のようなスクロースアナログ2糖の添加が細菌叢をどのように変化させるか次世代型シーケンサを用いた16S rDNA遺伝子解析を利用して調べた。その結果、培養時間の経過に伴って特定の善玉菌の割合が多くなる傾向を確認することができた。しかし、本実験はまだ1回しか行っていないので、信頼性を高めるために繰り返して本実験を行うつもりである。 今後は、次のステップとして、さらに動物実験を行ってスクロースアナログ2糖のプレバイオティクス機能の評価を行なってゆく予定である。
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