昨年度までに糖化物の分子種によってRAGEとの結合活性が異なる可能性があること、内在性AGEsをペプチドに断片化することによってRAGEとの結合活性が低下することを見出した。そこで今年度は、精製RAGEを用いて解析したAGEsの結合活性と、AGEsを含有する培地で培養したヒト臍帯静脈内皮細胞内に生成するスーパーオキシドアニオン量との相関を検討したところ、培地への添加量に応じてスーパーオキシドアニオンが増加すること、これがRAGEの中和抗体によって抑制されることから、観察された現象はRAGEを介した細胞影響であることが示唆された。加えて、内在性AGEsのモデルであるタンパク質型AGEsのRAGEとの結合が、食事性AGEsのモデルであるアミノ酸型およびペプチド型AGEsによって変動するかどうかを細胞試験により検討した。昨年度までにRAGEに対する高い結合活性を示すことが明らかとなったキシロース、メチルグリオキサルで調製したタンパク質型AGEsを含む培地に対して、グルコースやフルクトース等を用いて調製したペプチド型AGEsを添加して細胞への影響を検討したところ、いずれのタンパク質型AGEsの場合においても、ペプチド型AGEsを添加した際にスーパーオキシドアニオンの発生量が低下し、添加量の増加に応じてスーパーオキシドアニオンの発生量がさらに低下する傾向を示した。ペプチド型AGEsのみを培地に添加してもスーパーオキシドアニオンが発生することから、観察された現象は、ペプチド型AGEsはタンパク質型AGEsに比べてRAGEへの結合量は低下するが、3次構造が失われるためRAGEへの親和性が高まることに起因するのではないかと考えられる。
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