研究実績の概要 |
糸状菌の菌糸生長の躍動性に関わる分子機構 Calmodulin CaMにRFPを付加した融合タンパク質を発現する株、さらにCalmodulin-dependent kinase, CmkA, CmkB, CmkCにGFPを付加した融合タンパク質を発現する株を構築し、それぞれの細胞抽出液に対してRFP抗体またはGFP抗体による免疫沈降を行い相互作用するタンパク質群を精製した。それらをLC-MS/MSの質量分析にかける事で、CaM, CmkA, CmkB, CmkCのターゲット候補をそれぞれ20-60個同定した。興味深いことに、それらの重複はほとんど見られず、それぞれのタンパク質が異なるタンパク質をターゲットとすることで、シグナル伝達を使い分けていることが示唆された。GO解析により、CaMと相互作用するタンパク質には細胞周期、オルガネラの組織化・局在化に関わるものが濃縮され、CmkAには菌糸生長、刺激への応答、細胞間コミュニケーションに関わるものが濃縮され、CmkB,Cには一次代謝に関わるものが濃縮された。 外的シグナルに応答した躍動性の変化 共焦点顕微鏡ベースでポイントレーザーを使う事で細胞の目的部位にストレスを与えた際の、躍動性の変化、即ち、アクチンの重合、エキソサイトーシス、Ca2+の流入、菌糸生長を、蛍光イメージングにより観察し、Ca2+の細胞内での伝導の特性を解析した。現在、論文を準備中である。 また、Ca2+の流入とアクチンの重合、エキソサイトーシス、膜輸送の菌糸生長における役割を総説としてまとめ発表した。Takeshita, Curr Top Microbiol Immunol. 2020
|