研究課題/領域番号 |
18K05557
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宗正 晋太郎 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20641442)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気孔 / アブシジン酸 / 孔辺細胞 / カルシウム / イオンチャネル |
研究実績の概要 |
植物の葉の表皮に存在する気孔は、一対の孔辺細胞からなる小孔であり、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散による水分放出を調節する重要な場所である。孔辺細胞細胞質のカルシウムイオンは、気孔開閉運動の調節にかかわる重要なシグナル伝達因子の一つであることが古くから知られている。本研究では、孔辺細胞細胞質のカルシウムイオン濃度の調節にかかわる原形質膜カルシウムイオンチャネルの候補遺伝子であるGCC1の機能解析を進めている。核外輸送シグナル配列(NES)を付加したカルシウムイオン指示蛍光タンパク質yellow cameleon 3.6(NES-YC3.6)を用いたカルシウムイメージング実験の結果、GCC1遺伝子破壊変異体では人為的な過分極誘導に応答した孔辺細胞細胞質カルシウムイオン濃度上昇に異常が見られた。このことからGCC1は、原形質膜の過分極により活性化するカルシウムイオンチャネル本体(またはその調節因子)であることが示唆された。また気孔開度測定の結果、GCC1遺伝子破壊変異体では、アブシジン酸だけでなく、光などその他の環境刺激に対する応答も変化しており、孔辺細胞の環境情報の統合変換に寄与していることが示唆された。また本年度は、GCC1のイオンチャネル活性を評価するため、ヒト胎児由来腎臓培養細胞であるHEK293 細胞を用いた異種発現系の構築を行った。また今後の実験に利用するGCC1活性調節を行う候補因子の多重遺伝子破壊変異体を単離することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GCC1が孔辺細胞の環境情報の統合変換に寄与していることを示唆するデータが得られた。また、ヒト胎児由来腎臓培養細胞であるHEK293 細胞を用いたGCC1の異種発現系を構築することができた。さらに今後の実験に利用するGCC1活性調節を行う候補因子の多重遺伝子破壊変異体を単離することができた。
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今後の研究の推進方策 |
HEK293細胞発現系を用いたパッチクランプ実験を行い、GCC1のイオン輸送特性や電位依存性を評価する。作成した多重変異体を利用した気孔開度測定・カルシウムイメージング・パッチクランプ実験により、遺伝的相互作用・上位性の解析を行う。
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