イネ品種を栄養生長期に様々な水温で栽培し,翌年得られた種子を水温一定で栽培すると前年低温で栽培した種子の方が高温条件で栽培した場合より葉の枚数が少なく,出穂が早まることが確認され, 前世代の栽培環境の記憶を次世代に受け継ぐエピジェネティックな遺伝であると示唆される。野生イネでの相転移は栽培イネと同様に行われることが明らかになり,野生イネの持つ性質が維持されて栽培イネに残っていることが示唆された。イネは遺伝的に栄養生長期の相転移を制御していること,地下部で受容した温度のような環境シグナルよりも地上部で受容した日長などの環境シグナルが相転移を調節する力が強いことが示唆された。
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