研究課題/領域番号 |
18K05581
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
溝淵 律子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, ユニット長 (40425591)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イネ / 病害抵抗性 / もみ枯細菌病 |
研究実績の概要 |
(1)日本の主要品種についてもみ枯細菌病菌による苗腐敗抵抗性の評価を行ったところ、日本の在来品種である「愛国」および「クジュウ」が抵抗性「強」を示し、外国由来の品種以外にも抵抗性に関する遺伝資源があることがわかった。本課題で解析中のもみ枯抵抗性系統RBG2-NIL(抵抗性QTL,RBG2をひとめぼれに導入した系統)は、ひとめぼれよりは苗腐敗に対する抵抗性程度がやや高かったものの、明確な抵抗性は示さなかった。このことからもみ枯細菌病菌(Burkhorderia.glumae)に由来する2つの病徴(苗腐敗症状およびもみ枯症状)に対する抵抗性をあわせて付与するには、複数のQTLを導入する必要があることが推測された。以上の結果をとりまとめて論文として公表した。(Evaluation of major rice cultivars for resistance to bacterial seedling rot caused by Burkholderia glumae and identification of Japanese standard cultivars for resistance assessments. Mizobuchi et al. 2020 Volume 70 Issue 2 Pages 221-230 Breeding Science)
(2)RBG2の予測遺伝子と似た作用を示すとRAP-DBにおいて推測される11個の遺伝子を対象として、コシヒカリの突然変異体集団からTILLING法で予測遺伝子に関する変異体(ヘテロ)を選抜した。その後、各々の遺伝子についてホモ型を有する個体を選抜し、もみ枯細菌病抵抗性の程度を評価した(切り穂検定)。その結果、ある遺伝子に関する変異体が有意に罹病性が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RBG2の予測遺伝子と似た作用を示す遺伝子に関する変異体が、病害抵抗性が罹病性を示す結果は非常に興味深い。一方、CRISPR/Cas9により予測遺伝子に重篤な変異を生じさせた変異体を作出し抵抗性評価を進めることにより、予測遺伝子が真の原因遺伝子であるかどうかを明らかにする必要があるが、形質転換体の作出が当初の予定より遅れているので迅速に進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からは、CRISPR/Cas9により予測遺伝子に重篤な変異を生じさせた変異体を作出し抵抗性評価を進めることにより、予測遺伝子が真の原因遺伝子であるかどうかを明らかにする実験を優先的に行いたいと思い準備していたところ、現在(2020年5月)新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための在宅勤務(交代勤務)を行っているため、予定通り実験を進めるのが極めて難しい状況であるが、少しずつ進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は抵抗性検定試験に供試する系統数が計画より少なかったことから次年度使用額が生じた。次年度はCRISPR/Cas9により予測遺伝子に変異を生じさせた変異体を作出する必要があるので、その実験に関する消耗品費として使用する計画である。
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