1)イネ多収化遺伝子SPIKEの対立遺伝子の多様性の解明:熱帯の普及品種IR64を遺伝的背景として、国際稲研究所で育成された熱帯日本型品種に由来するNew Plant Type(NPT)稲5品種のSPIKEの座乗する染色体断片を導入したNIL5系統に加え、温帯日本型(コシヒカリ)由来の染色体断片を導入した系統も評価したところ、熱帯日本型由来の系統のほうが一次枝梗数や二次枝梗数が多く一穂籾数が多い傾向が見られた。 2)異なる環境条件下で安定して多収となる系統YTH183 の遺伝的要因の解明:IR64背景で籾粒重を増加させるNPT由来のQTLが、YTH183の遺伝的多収要因のひとつであると考えられる。QTL解析により、第5染色体に座上するqGW5を検出するとともに、IR64背景でのNILを評価しqGW5による籾重増加の効果を明らかにした。 3)(1)マーカー補助選抜による、多収化遺伝子SPIKEの日本の多収品種への導入:日本の多収品種である「北陸193号」「タカナリ」「もちだわら」を遺伝的背景として、マーカー補助選抜と戻し交雑により、SPIKE遺伝子を導入した。BC4の自殖後代系統のNILを選抜し、収量特性などを評価したところ特に「北陸193号」のNILにおいて収量の増加が見られた。 (2)多収要因の集積系統育成:環境安定的に多収となるYTH183の多収要因を日本の最多収品種のひとつである「北陸193号」に導入するために交配し、さらに「北陸193号」で戻し交配した後代集団を養成した。BC1F6分離集団から個体選抜し、BC1F7世代となる集積候補系統を育成した。
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