研究課題/領域番号 |
18K05589
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
千田 峰生 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30261457)
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研究分担者 |
山口 直矢 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部十勝農業試験場, 研究主任 (20536586)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ダイズ / 低温裂開抵抗性 / 品種とよみづき / 種皮 / プロアントシアニジン蓄積 / DMACA染色法 |
研究実績の概要 |
低温裂開(以降、裂開と省略)のメカニズムとして、肥大最大期での背側種皮におけるプロアントシアニジン(PA)蓄積との関連が示唆されている。裂開抵抗性ダイズ系統「十育248号」は低温処理でも種皮全面のPA蓄積が抑制されており、その裂開抵抗性メカニズムとして、肥大最大期での種皮全面におけるPA蓄積抑制の可能性が示唆されている。本研究に用いる裂開抵抗性ダイズ品種「とよみづき」は「十育248号」と異なり、裂開抵抗性弱のダイズ品種「ユキホマレ」と同様、21日間の低温処理によって、臍および周辺の種皮が褐色に着色する。しかしながら、種皮の褐色着色はPAが多く蓄積する臍および周辺の種皮しか目視することができず、背側種皮でのPA蓄積を観察するにはPAを青く染色する4-Dimethylaminocinnamaldehyde(DMACA)を用いた検出法、すなわちDMACA法が必要である。本研究では「とよみづき」が21日間の低温処理によって、「ユキホマレ」と同様に、肥大最大期でPA蓄積が背側種皮まで達しているかどうかを、DMACA法によって分析した。まず、開花10日後に「とよみづき」植物体を21日間の低温処理後、肥大最大期の種子(生重量700mgから900mg)から種皮をそれぞれ単離した。種皮を寒天包埋後、ビブラトームで切片を作製して、1%DMACA溶液で染色し、光学顕微鏡観察によりPA蓄積を比較観察した。その結果、「とよみづき」でも「ユキホマレ」と同様、背側種皮まで青色染色部分が見られた、つまりPAが背側種皮まで蓄積している可能性が高い。 以上の結果により、「とよみづき」は「十育248号」とは異なる新規な裂開抵抗性機構を有している可能性が支持された。今後は「とよみづき」の種皮物性を測定し、「ユキホマレ」や「十育248号」と比較調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画通りに進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、肥大最大期での「とよみづき」の種皮物性を測定し、裂開抵抗性弱の品種「ユキホマレ」および裂開抵抗性強の系統「十育248号」と比較解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用頻度の高い試薬等をまとめ買いしたり、値引き期間に購入することにより、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、本研究のサンプルを保存しているディープフリーザーの部品交換に必要な物品費や、本研究の情報収集に必要な学会参加および研究分担者との研究打合せのための旅費として支出することを予定している。
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