研究課題/領域番号 |
18K05589
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
千田 峰生 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30261457)
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研究分担者 |
山口 直矢 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 十勝農業試験場, 研究主任 (20536586)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ダイズ / 低温裂開抵抗性 / 品種とよみづき / テクスチャーアナライザー / 種皮物性 |
研究実績の概要 |
低温裂開(裂開と省略)とは開花後の低温によってダイズの背側種皮が大きく裂けた結果、中の子葉が剥き出し乖離する現象である。裂開粒は品質低下がひどく、廃棄処分される。そのため、裂開はダイズの安定生産を脅かす要因となる。したがって、裂開抵抗性のダイズ品種の育成が求められる。裂開のメカニズムとして、肥大最大期での背側種皮におけるプロアントシアニジン(PA)蓄積との関連が示唆されており、その蓄積を抑制するIc遺伝子の裂開抵抗性への関与が報告された(Senda et al. 2018)。しかしながら、Ic遺伝子の導入だけでは裂開抵抗性に十分であるとはいえず、別の裂開抵抗性遺伝子の探索が求められた。昨年度の研究により、ダイズ品種「とよみづき」が裂開抵抗性強にかかわらず、Ic遺伝子を有しておらず、肥大最大期で背側種皮にPA蓄積することが明らかになった。つまり、「とよみづき」は新規な低温裂開抵抗性メカニズムを有している可能性が高い。本年度は「とよみづき」の低温裂開抵抗性メカニズムを解明するためにテクスチャーアナライザーを用いた種皮物性の測定を行い、裂開抵抗性弱のダイズ品種「ユキホマレ」と比較した。その結果、裂開抵抗性弱の「ユキホマレ」では低温処理によって、破断荷重と破断伸びが有意に低下するのに対して、裂開抵抗性強の「とよみづき」では有意な低下が見られなかった。以上の結果より、「とよみづき」では低温処理によっても種皮物性が変化しづらく、この特性が裂開抵抗性に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画通りに進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
「とよみづきが有する裂開抵抗性に関与する候補遺伝子を探索するため、とよみづきの種皮物性に関与する酵素やタンパク質の候補を探索し、これらの遺伝子をダイズゲノムデータベースから検索する」という方策であった。しかしながら、今回得られた種皮物性の特性では候補の特定が難しいことが判明した。そのため、今後は、QTL解析により「とよみづき」の裂開抵抗性に関与する遺伝子座を明らかにし、候補遺伝子を絞り込む方策に変更する。
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