研究課題
本研究者はこれまで、ナガイモ塊茎の頂端部に重力方向へ沈降するアミロプラストが多数局在することを見出した。植物の根は、頂端部の沈降性アミロプラストを含む根冠で重力方向を感受することを起点とし、オーキシンの根内分布を制御して形態形成に至ることが知られている。そこで本研究は、 1.「沈降性アミロプラストと塊茎形状成立との関係」および 2.「オーキシンと塊茎形状成立との関係」を明確化し、更に 3.「塊茎形状成立に関わるシグナル伝達の仕組み」も検証することで、ヤムイモ類塊茎の形状成立機構を理解することを目的とする。令和2年度(最終年度)の実施研究では、新しい観察法である「切片SEM法」を用いるとこにより、塊茎先端部は重力感受に機能する根冠コルメラ細胞と類似する微細構造を有することが示された。更にヤムイモ類塊茎の皮層に含まれるアミロプラストの数・量や分布の差異が、塊茎形状や重力応答性の差異の発現に関与している可能性を裏付けるデータが得られた。また、形状の異なる幾つかの塊茎とオーキシン輸送体の関連遺伝子(PIN遺伝子)、外生・内生オーキシンおよびカルシウム(シグナル伝達物質の候補)との関係性を明らかにするための調査を行い、オーキシンやカルシウムと塊茎形成との間に認められる関係性を示す有意義なデータも得られた。今後は、これらのデータを活かして更に詳細な検証を行い、ヤムイモ類塊茎の形状成立機構について総合的な解明を行う計画である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
Plant Production Science
巻: - ページ: -
10.1080/1343943X.2020.1862682
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