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2018 年度 実施状況報告書

イネの低窒素環境下におけるヒストンのアセチル化調節による光合成の制御

研究課題

研究課題/領域番号 18K05598
研究機関九州大学

研究代表者

斉藤 和幸  九州大学, 農学研究院, 准教授 (00215534)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードイネ / Rubisco遺伝子 / 低窒素条件 / 転写制御 / ヒストン修飾
研究実績の概要

無窒素条件下で栽培した植物体のRubisco遺伝子の発現量は窒素を十分に与えて栽培した植物体と比較して約1/15に低下していた。この時 Rubisco遺伝子のコード領域におけるRNAポリメラーゼⅡの結合レベルは窒素を十分に与えて栽培した植物体と比較して無窒素条件下では約1/12に低下していたことから、窒素不足によるRubisco遺伝子の発現量の低下は転写レベルでの制御を伴っていることが示唆された。そこで、Rubisco遺伝子のクロマチン構造について検討した。Rubisco遺伝子のプロモーター領域およびコード領域における単位DNAサイズ当たりのヌクレオソーム量は無窒素条件下にすることにより増加した。したがって、Rubisco遺伝子は窒素レベルの低下によりクロマチン構造が凝縮するため、転写活性が低下するものと考えられる。また、転写の活性化に関わるヒストンH3のN末端より4番目のリシンのトリメチル化(H3K4me3)、9番目と14番目のリシンのアセチル化(H3K9acとH3K14ac)は、プロモーター領域およびコード領域のいずれにおいても無窒素条件下にすることによりレベルが低下した。一方、転写抑制に関わるヒストンH3のN末端より9番目のリシンのジメチル化(H3K9me2)レベルはコード領域においてのみ無窒素条件下にすることによって低下した。
以上の結果より、Rubisco遺伝子は窒素レベルの低下によりクロマチン構造が凝縮すること、及び転写の活性化に関わるH3K4me3、H3K9ac並びにH3K14acレベルが低下し、転写抑制に関わるH3K9me2レベルが高まることによって転写活性が低下し、発現量が減少することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画の通りに、Rubisco遺伝子の低窒素条件下における発現抑制がヒストンH3の修飾にともなう転写レベルで制御されていることが示めせたため。

今後の研究の推進方策

1. イネの核ゲノムに存在するヒストン脱アセチル化酵素遺伝子の中から窒素濃度が低下すると発現レベルが上昇するヒストン脱アセチル化酵素遺伝子を明らかにする。
2. 1.で見出したヒストン脱アセチル化酵素遺伝子について、発現量を減少させた形質転換体および発現量を増加させた形質転換体を作出し、Rubisco遺伝子のクロマチン構造、ヒストンH3テールのアセチル化レベル、転写活性、発現量および光合成能力を野生型のものと比較、検討する。
3. 光合成能力の高いハバタキ、光合成能力の低いササニシキと日本晴について、窒素濃度を変えて栽培し、穂揃い期に止葉のRubisco量、Rubisco遺伝子の発現量、Rubisco遺伝子のクロマチン構造及びヒストンH3テールの修飾レベル、光合成速度と 1.で見出したヒストン脱アセチル化酵素遺伝子の発現量との関係を比較、検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] シロイヌナズナにおける窒素応答性転写因子AtERF058によるRubisco小サブユニット遺伝子の発現制御2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤和幸、中尾美紀、上野修
    • 雑誌名

      日本作物学会第247回講演会要旨集

      巻: 1 ページ: 164-164

    • オープンアクセス
  • [学会発表] シロイヌナズナにおける窒素応答性転写因子AtERF058によるRubisco小サブユニット遺伝子の発現制御2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤和幸、中尾美紀、上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
  • [備考] 植物生産生理学研究室

    • URL

      http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/shokusei/

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公開日: 2019-12-27  

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