ユビキチンプロモーターによるOsHDA713遺伝子の過剰発現体、CaMV35SプロモーターによるOsHDA713遺伝子の過剰発現体およびRNAiによるOsHDA713遺伝子の発現抑制体を作出した。グルタチオンリダクターゼ遺伝子のDNA量を基準として、 それぞれの形質転換体について、導入遺伝子数が1コピーヘテロの個体を選抜した。さらに、その子孫から導入遺伝子数が1コピーホモの個体を選抜した。黒粒培土で栽培したOsHDA713遺伝子の過剰発現体および発現抑制体について、OsHDA713遺伝子の発現量とOsRBCS3遺伝子の発現量との間に有意な相関関係は見られなかった。この時、ヒストンアセチル化酵素遺伝子GCN5の発現量を検討したところ、GCN5遺伝子の発現量とOsRBCS3遺伝子の発現量との間に有意な正の相関関係が見られた。これらの結果は、高窒素条件下ではOsRBCS3遺伝子の発現はGCN5により制御されていることを示唆している。窒素レベルを低下させるとGCN5遺伝子の発現量が減少し、OsHDA713遺伝子の発現量が増加した。そこで、無窒素水耕液で栽培したOsHDA713遺伝子の発現抑制体についてOsHDA713遺伝子の発現量とOsRBCS3遺伝子の発現量を検討したところ、有意な正の相関関係が見られた。この時、GCN5遺伝子の発現量とOsRBCS3遺伝子の発現量との間に有意な相関関係は認められなかった。これらの結果は、低窒素条件下ではOsRBCS3遺伝子の発現はOsHDA713により制御されていることを示唆している。 以上の結果より、高窒素条件下ではOsRBCS3遺伝子の発現はGCN5により制御されているが、低窒素条件になるとOsHDA713遺伝子の発現量が増加し、OsRBCS3遺伝子の発現を制御することが示された。
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