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2019 年度 実施状況報告書

低酸素条件下における雑穀の冠根の酸素獲得機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K05600
研究機関東海大学

研究代表者

松浦 朝奈  東海大学, 農学部, 教授 (30299672)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード雑穀 / 低酸素 / 通気組織 / 成長
研究実績の概要

低酸素耐性に強いニホンビエと低酸素耐性の弱いコルネを用いて,低酸素環境における反応を調べることとした.
ニホンビエとコルネを2週間間水耕栽培した後,窒素ガスを通気した低酸素区と通気を続ける対照区を設けて約14日間栽培した.処理後14日目に約15cmの冠根を採取し,根端から10mmごとに横断切片を作成した.リグニン,スベリン,通気組織の観察のため,それぞれフロログルシノ-ル塩酸溶液,fluorol yellow 088 乳酸溶液およびトルイジンブル-で染色し,顕微鏡観察を行った.処理開始時と終了時に植物個体を採取し,葉面積と乾物重を測定して成長解析を行った.
飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度は低酸素区でほぼ0%,通気区で30~60%となり,明らかな差異が認められた.ニホンビエでは低酸素区の個体成長速度は通気区の83%となったが5%レベルで有意差はなく,コルネでは57%に有意に低下した.ニホンビエのリグニンの蓄積は根端から70mm以上の厚壁組織と下皮に,コルネでは根端から50mm以上の下皮に観察され,処理間差はみられなかった.ニホンビエのスベリンの蓄積は根端10㎜から100㎜では観察されず,コルネでは根端から100㎜の下皮において観察されたが,処理間差は認められなかった.ニホンビエの通気区の冠根の通気組織は根端から20mmで発生し,根の断面積当たりの割合は基部へ向かうほど増加した.低酸素区では根端から30mmで発生して通気区と同様なパタ-ンで増加した.コルネの低酸素区では根端から通気組織が形成されたがその面積の割合は明らかに低かった.ニホンビエの冠根の中心柱の割合はコルネより低かった.
以上のことから,ニホンビエがコルネより低酸素耐性が強いのは,通気組織の発達と中心柱の面積の割合が小さいことによると考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酸素モニタ-システムの稼働が予定していたより1年遅くなったが,今年度は試行できたため,その遅れを取り戻すことができ,おおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

今年度は,低酸素処理について,寒天液を使用する処理を増加し,厳しい低酸素に対する植物の反応を明らかにする.質素また,成長の程度を明らかにするため,処理期間を20日間から30日間に変更する.

次年度使用額が生じた理由

当該助成金が生じた状況としては,見積額と納入額の差額や消費税の小数点以下の計算方法の違いなどが集積したものであると考えられる.
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については,少額であるため,実験に必要な消耗品として使用する計画である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 低酸素が雑穀2種の成長,通気組織およびROLバリアに及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      加藤康之・松浦朝奈
    • 学会等名
      日本作物学会

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公開日: 2021-01-27  

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