研究実績の概要 |
本課題では3年間の研究実施期間を通して、アブラナ属作物の花形質に対する送粉昆虫の先天的・後天的選好性を解明し、昆虫の選好性に深く関連する花形質、特に紫外線反射率の遺伝性を明らかにすることを目標にしている。令和2年度は、花弁の紫外線反射率のQTL解析のためのF2集団の表現型評価とジェノタイピングデータの取得を進めた。具体的な研究内容とその成果は次の通りである。2020年の冬から春にかけて、セイヨウナタネの遺伝解析集団(両親系統、F1及びF2世代)を栽培し、F2集団168点の表現型データを取得するとともに、当日開花した花を紫外線撮影用レンズと紫外透過可視吸収フィルターを装着したデジタルカメラで撮影した。得られた画像に基づいて各系統の花弁の紫外線反射程度を3分類(反射型、吸収型とそれらの中間型)で評価するとともに、現在、画像解析により紫外線反射率の定量化を進めている。また、両親系統とF2集団の各個体から採取した葉から抽出されたDNAを用いてRAD-Seq解析を行い、ジェノタイピングデータ(6,165個のSNP)を取得した。2021年1月から2回目の遺伝解析集団(両親系統、F1及びF2世代)の栽培を開始しており、表現型評価とジェノタイピングの結果が得られ次第、QTL解析を実施する予定である。
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