アブラナ属作物のF1品種の種子生産における採種性の問題は育種業界において古くから重要課題であった。しかし、採種性に関わる課題として自家不和合性や細胞質雄性不稔等の生殖様式の研究が活発に進められてきた一方で、作物の花形質と送粉昆虫の選好性の関係をとりあげた研究は少なく、基礎的知見が著しく不足していた。本課題ではセイヨウナタネをモデルとして用い、送粉昆虫の選好性に関連する花形質の多様性や遺伝性等の知見を獲得した。また、作出した植物材料は今後、セイヨウナタネの採種圃場における花粉流動の実態解明や、送粉昆虫の行動を制御するための花形質の遺伝的改良を目指した研究・開発に有効に活用できると考えられる。
|