研究課題/領域番号 |
18K05613
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
山根 健治 宇都宮大学, 農学部, 教授 (60240066)
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研究分担者 |
黒倉 健 宇都宮大学, 農学部, 講師 (10650898)
謝 肖男 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (30610323)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 花芽分化 / 早期開花 / 相転移 / 発芽 / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
ハナモモの種子発芽において,ABA合成阻害剤のフルリドン(F)は発芽を促進するが,低温不足時には実生の矮化や葉身の異常が生じ,エピジェネティクスの関与が予想される.1年生実生において,断根とGA阻害剤処理による生殖成長相への早期移行が報告されているが,開花関連遺伝子については明らかにされていない.本研究では,ハナモモの実生の早期開花技術につなげることを目的とし,早期発芽誘導時の低温不足の種子における奇形葉発生に及ぼすメチル化阻害剤の効果,鉢植えによる根域制限が1年生実生の花芽形成に及ぼす影響,並びに実生への各種処理が開花と開花関連遺伝子に及ぼす影響について調査した.実験1:‘矢口’の除核種子をDNAメチル化阻害剤であるプロカイン塩酸塩(P)で2週間浸漬処理後,5℃下で2週間 F処理した.低温処理後に播種し,発芽率と実生の表現型を調査した.その結果,発芽率には差は無く,異常レベルは低かったが,P処理区で実生葉のSPAD値が高まり,黄化が抑制される傾向が認められた.実験2:実生を6号または9号鉢で栽培した.2週間毎に樹高と節数を調査し,12月上旬に花芽を調査した.その結果,6号鉢では7株中2株,9号鉢では7株全部に花芽分化した.1株あたり6号で1.5個,9号で6.7個着花し,根域の違いによる株の成長量と花芽数に相関が認められた.実験3: 30節程度の実生を圃場に定植し,7月上旬に60節程度の実生にウニコナゾール(U),断根(R)および組合せ(UR)処理した.2週間毎に葉身の採取,樹高および節数を調査し,1月に花芽を観察した.その結果,花芽数は1株あたり対照区14.7,U区4.0,R区2.8,UR区1.1で低かった.U区で低節位での着花が認められた.開花関連遺伝子の発現を調査中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
早期発芽において,DNAメチル化阻害剤が低温不足の実生の異常を緩和する傾向が認められた.根域による成長量が花芽数に影響することが示された.
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今後の研究の推進方策 |
低温不足の実生におけるDNAメチル化の関与についてさらに調査する.開花関連遺伝子の発現変動について解析を進める.鉢物を使って,開花促進技術が遺伝子発現と植物ホルモンのバランスに及ぼす影響を調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
アジア園芸学会議(AHC2020)で発表予定であるが,コロナウイルス感染症のため大会が2020年12月に延期となったため,次年度使用額となった。
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