研究課題
基盤研究(C)
ウンシュウミカンに対して9月にジベレリン(GA)とプロヒドロジャスモン(PDJ)を混用処理すると、成熟期において果肉中の香気成分含量と組成が変化し、特にミカンの異臭の原因成分の一つであるジメチルスルフィド(DMS)の集積が抑制されることを明らかにした。このDMSに対する作用はGAに起因し、PDJ単独では効果がないが、PDJはGAの効果を高める可能性が示唆された。この処理によるDMSの集積抑制効果は成熟期だけでなく貯蔵後も確認された。
収穫後生理
ウンシュウミカンに対するジベレリンとプロヒドロジャスモンの混用処理は浮皮軽減技術として普及している。この処理をした果実は若く新鮮な風味を保ちやすいことを確認していたが、香気成分に及ぼす影響は未解明だった。本研究から、この処理を行うと果肉中の香気成分含量と組成が変化し、特にミカンの異臭の原因成分の一つであるジメチルスルフィド含量が低く保たれることが明らかとなり、カンキツにおいて植物ホルモン処理が香気成分に影響するという科学的知見が得られた。