研究実績の概要 |
植物ミトコンドリアゲノム形質転換は細胞質雄性不稔の付加や有用物質の大量生産など様々な活用法が期待される。しかし、パーティクルボンバード法やアグロバクテリウム法など従来の植物形質転換法では成功例がない。我々は、ミトコンドリア移行ペプチドおよびDNA結合ペプチドを組み合わせた融合ペプチドを用いて、ミトコンドリアへの一過的遺伝子導入に成功している(Chuah et al., Sci. Rep., 2015)。しかし、ミトコンドリアゲノム形質転換植物体は未だ作出できておらず、その原因の一つはミトコンドリアへの低い遺伝子導入効率にあると考えている。そこで、ペプチド法による植物ミトコンドリアへの遺伝子導入効率を向上させる化合物を化合物ライブラリーから同定することを本年度の研究目標とした。 研究材料にはタバコ(Nicotiana tabacum L.)、ペプチドにはDNA結合ペプチドおよび細胞膜透過型ペプチドを持つ(KH)9-Bp100(Lakshmanan et al., Biomacromolecules., 2013)、DNAにはCaMV 35Sプロモーター配列の下流にNanoLucマーカー遺伝子(Promega Co. USA)を融合したプラスミドDNAを作成して用いた。また、化合物ライブラリーには東京大学創薬機構が保有する約9600種類の化合物からなるコアライブラリー(https://www.ddi.u-tokyo.ac.jp/chemical_library/#2)を用いた。
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