研究実績の概要 |
植物ミトコンドリアゲノム形質転換体の作出を目標に、融合ペプチドを用いた植物細胞への遺伝子導入効率を向上させる化合物の選抜を試みた。当初、ミトコンドリアへの遺伝子導入効率を指標に化合物ライブラリーのスクリーニングを目指したが、遺伝子導入効率が著しく低かったため、核への遺伝子導入効率を指標とした。そのため、ペプチドにはDNA結合ドメインおよび細胞膜透過性ドメインを持つ(KH)9-Bp100(Lakshmanan et al., Plant Biotechnology, 2015)、DNAにはp35S-NLuc(England et al., Bioconjugate Chem., 2016)を用い、導入方法は申請者が以前報告したCAPT法を用いた(Kimura et al., Plant Biotechnology, 2019)。 また、供試材料にはタバコ(Nicotiana tabacum L.)を考えていたが、十分な種子を得ることが難しくなったため、京都伏見寒咲花菜(Brassica campestris L. ; タキイ種苗)を購入して用いた。化合物ライブラリーには東京大学創薬機構が保有する約9600種類の化合物からなるコアライブラリー(https://www.ddi.u-tokyo.ac.jp/)を用いた。1次スクリーニングでは10化合物を混合して処理し、コントロールに比べて遺伝子導入効率に影響があった化合物群を選抜し、2次スクリーニングでは、それらの化合物群を単独に処理して遺伝子導入効率への効果を明らかにした。その結果、1次スクリーニングでは38x10化合物群が選抜され、2次スクリーニングでは18化合物で効果が見られた。
|