研究課題/領域番号 |
18K05654
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
草場 基章 佐賀大学, 農学部, 准教授 (90304881)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | FISH / PNA / タマネギべと病菌 / タマネギ乾腐病菌 |
研究実績の概要 |
タマネギべと病菌(Peronospora destructor)とタマネギ乾腐病菌(Fusarium oxysporum f. sp. cepa)はタマネギ栽培における重要病原菌として知られる。各菌はそれぞれ卵胞子(べと病菌)と厚膜胞子(乾腐病菌)を形成し、土壌中で耐久生存を行う。本研究ではrRNAを標的としたFISH法により生きた卵胞子および厚膜胞子を特異的に検出する手法を開発する。 これまで本研究では確立したハイブリダイゼーション条件および、28S rRNAおよびrRNA-ITS領域を標的として設計した人工核酸(PNA)プローブを用いてタマネギべと病菌の卵胞子および乾腐病菌の厚膜胞子に対してFISH法による蛍光染色を行った。その結果、卵胞子は予想外に休眠が深く、rRNAの発現量が極めて少ないことが明らかとなった。そのため、蛍光発光が弱くなる問題点が生じた。また、乾腐病菌の厚膜胞子についても同様に休眠が深く、rRNAの発現量が極めて少ないため蛍光発光が弱くなる問題点が生じた。そこで、本年度はタマネギべと病菌の卵胞子についてはrRNAの発現量が高い考えられる植物組織中での蛍光染色を検討した。植物組織中では卵胞子は造卵器に覆われているが、ハイブリダイゼーションにより造卵器からは蛍光発色が観察された。さらに、ハイブリダイゼーションにより菌糸、そして、植物組織中で形成されつつあった分生胞子についても蛍光染色が可能であることが明らかとなった。一方、卵胞子からは蛍光発色が観察されなかった。これは供試した植物組織中で卵胞子が既に休眠状態に入っていたためと考えた。なお、同様の植物組織中でのFISH法による蛍光染色をタマネギ乾腐病菌についても行ったところ、菌糸から蛍光発色が観察された。これらの結果から、両菌ともFISH法による蛍光染色は植物組織からの検出に利用可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述の通り、卵胞子および厚膜胞子ともにrRNAの発現量が少ないといった問題が生じた。この解決のためにIn situ PCR法の検討も試みたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により必要な試薬の合成・納品が遅れてしまい十分な検討に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は卵胞子および厚膜胞子ともにIn situ PCR法を取り入れた蛍光染色に主に取り組む。また、酵素処理・ビーズ破砕により細胞壁透過処理の改良を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度はIn situ PCR法の検討も試みたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により必要な試薬の合成・納品が遅れてしまい十分な検討に至らなかった。このため、研究期間を延長したため、次年度使用額が生じた。
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