|
イネ、トマト、シロイヌナズナにおいて細菌エンドファイトが定着することによってプライミング様抵抗性が誘導されることが明らかになっている。シロイヌナズナに誘導されるプライミングでは、斑葉細菌病菌Pseudomonas syringaeの感染に対して誘導されるサリチル酸シグナルを介した抵抗性機構が通常状態の植物に比べて強く早期に誘導されることによって、病害抵抗性が発揮されることが示されている。
このプライミングの効果の範囲を明らかにすることを目的として、シロイヌナズナを用いて病原糸状菌である灰色かび病菌Botrytis cinereaの感染に対する抵抗性を検定した結果、灰色かび病菌抵抗性も増強されることが明らかになった。種々の変異株を用いて解析した結果、カマレキシン生合成欠損株pad3では灰色かび病菌抵抗性に対するプライミングの効果が認められなかった。また、灰色かび病菌感染後のPAD3遺伝子の発現が、プライミングされた植物では促進されることが示された。これらの結果から、細菌エンドファイトの感染により誘導されるプライミングは複数の抵抗性シグナルに対して増強効果を示すことが明らかになった。
|
