研究課題
植物病原微生物は、宿主組織を操作して感染を助長するエフェクタータンパク質を分泌する。一方、植物細胞内のNucleotide-binding Leucine-rich Repeat(NLR)受容体にエフェクターが認識された場合、免疫反応が誘導される。イネいもち病菌Magnaporthe oryzaeのAVR-Pikエフェクターは、イネのNLR受容体ペアPik-1とPik-2によって認識される。Pik-1には特殊なHeavy-Metal-Associated(HMA)領域が含まれており、この領域によってAVR-Pikが認識され、植物の防御反応が誘導される。AVR-Pikの宿主標的因子として、HMA領域を含むタンパク質Heavy-metal-associated Isoprenylated Plant Proteins(HIPPs)とHeavy-metal-associated Plant Proteins(HPPs)が同定された。その中でOsHIPP19と名付けたHIPPは、AVR-Pikの5つのアリル(A、C、D、E、F)と相互作用することが明らかとなった。そこで、AVR-PikとOsHIPP19の生化学的および構造基盤を解明し、AVR-PikとPik-1-HMAの間の相互作用と比較した。大腸菌で生産し、精製した組換えタンパク質についてゲル濾過解析と表面プラズモン共鳴を行った結果、AVR-PikCとAVR-PikFはOsHIPP19と結合するが、これらは現在同定されている全てのPik-1アリルとは結合しないことが明らかとなった。以上の結果から、Pik-1のHMA領域を操作することで、既報のPik-1アリルには認識されないAVR-Pikアリルを認識可能なPik-1を設計し、将来、多様な菌株に対して病害抵抗性を示すイネ品種を作出するための基礎的知見が得られた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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