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2018 年度 実施状況報告書

病原菌由来因子による宿主気孔形成制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K05660
研究機関公益財団法人岩手生物工学研究センター

研究代表者

舘田 知佳  公益財団法人岩手生物工学研究センター, 園芸資源研究部, 研究員 (30774111)

研究分担者 清水 元樹  公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 研究員 (90734343)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードリンドウ葉枯病菌 / 気孔密度
研究実績の概要

気孔侵入型のリンドウ葉枯病菌(Septoria gentianae)による宿主気孔密度制御機構を解明することを目的として、まず、気孔形成誘導に関わるリンドウ葉枯病菌因子の探索を行った。リンドウ葉枯病菌のゲノム解析および同菌感染時のトランスクリプトーム解析から、宿主に作用する分泌タンパク質(エフェクター)候補因子として414候補因子を同定した。414候補因子の中から特に、侵入後の感染初期に発現が誘導される146候補因子に着目し、気孔形成促進能の検証を進めている。これまでに、30因子については検定済であり、うち1因子(Sep#49)についてはベンサミアナにおける気孔形成促進効果を確認した。また、気孔形成促進効果は見られないものの、ベンサミアナ葉に細胞死を誘導する因子が2因子確認された。これら3因子については、リンドウ葉枯病菌由来の病原性因子であると考えられる。
気孔形成促進能の見られたSep#49については、HAタグ融合タンパク質をベンサミアナタバコで一過的に発現させ、発現タンパク質を細胞分画法で分画すると、大部分が膜画分に存在していることがわかった。また、Sep#49のGFP融合タンパク質のベンサミアナタバコ葉での細胞内局在を検証した結果、細胞膜やその周辺部で、ドット状のシグナルとして観察されることがわかった。現在、それらSep#49のシグナルがどの細胞内小器官や構成要素に由来するものかについて調べているところである。並行して、本来の宿主であるリンドウでの機能解析を行うために、病原性因子発現リンドウ形質転換体作成のためのコンストラクトを作製しているところである。また、プロトプラスト法によるリンドウ葉枯病菌の形質転換を試みたが、形質転換体の作出には至っていない。他の手法も含めて条件検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リンドウ葉枯れ病菌由来の病原性因子の探索は、当初の計画通り進行している。気孔形成促進効果を持つ病原性候補因子のスクリーニングが若干遅れ気味であるが、これは、当初使用していたクローニング方法では、葉枯病菌由来の候補因子を発現ベクターに安定して導入することが出来ないという問題により、クローニングが難航したためである。現在、クローニング方法の改良によって問題は解決しており、次年度において146因子の検定は完了できると見込んでいる。また、リンドウ葉枯病菌の形質転換方法について、プロトプラスト法では作出に成功しなかったことから、形質転換体作成が遅れている。現在、Sptoria属菌で形質転換体作成実績のあるアグロバクテリウム法の検討をすすめており、次年度は当該因子を用いたリンドウ葉枯病菌形質転換体の作成に力を入れたい。一方で当初、次年度から予定していた病原性候補因子の機能解析に初年度から取り掛かることが出来たことから、次年度、葉枯病菌形質転換体作出に時間を割り当てられると考えている。

今後の研究の推進方策

リンドウ葉枯病菌由来の病原性候補因子146因子について、ベンサミアナを用いた気孔形成促進効果の検証を引き続き行っていく。ベンサミアナでの気孔形成促進効果の確認された因子については、Sep#49と同様に、機能解析および病原性因子発現リンドウ形質転換体の作成を並行して行う。Sep#49については、リンドウでの気孔形成促進能の有無や細胞内局在性に加え、他の植物病原菌における存在の有無や病原菌の感染性を亢進する病原力エフェクターとしての機能についても検証していく。また、Sep#49発現時に誘導されるシグナル因子の探索にも着手する。まずは、Sep#49発現時に誘導されるシグナル因子の可能性として、Sep#49タンパク質自身の細胞外への排出を含めた細胞間移行が行われている可能性も考えられることから、Sep#49を超高感度に検出できる検出方法の検討も併せて行う必要がある。また、今年度難航しているリンドウ葉枯病菌形質転換体の作出と評価のために、次年度は特に、リンドウ葉枯病菌の形質転換体作出方法の確立に力を入れていきたいと考えている。方法としては、リンドウ葉枯病菌と同属のSeptoria属で実績のあるアグロバクテリウム法を用いた検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の学会出席のための旅費が、所属機関からの財源により執行されたことにより次年度使用額が生じた。進行が若干遅延しているリンドウ葉枯病菌形質転換体作成作業のために研究補助者を雇用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The Host Stomatal Density Determines Resistance to Septoria gentianae in Japanese Gentian2019

    • 著者名/発表者名
      Tateda Chika、Obara Kazue、Abe Yoshiko、Sekine Reiko、Nekoduka Syuuichi、Hikage Takashi、Nishihara Masahiro、Sekine Ken-Taro、Fujisaki Koki
    • 雑誌名

      Molecular Plant-Microbe Interactions

      巻: 32 ページ: 428~436

    • DOI

      10.1094/MPMI-05-18-0114-R

    • 査読あり

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公開日: 2019-12-27  

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