研究課題
世界各地から収集されたナスコレクションを材料に青枯病抵抗性系統を探索し、青枯病抵抗性を有する6つの野生ナス系統を見出した。うち1系統(No. 98)はsequevar 15に属する青枯病菌RS1002株に非常に強い抵抗性を示すことが明らかになった。No. 98系統と青枯病感受性ナス系統の交配集団の解析から、No. 98系統が持つ青枯病抵抗性は優性一遺伝子により支配されることが明らかとなった。この結果から、No. 98系統はRS1002株が植物感染時に注入する72種類のエフェクターの何れかを非病原力(Avr)エフェクターとして認識して抵抗性を発揮していると推察された。RS1002株のエフェクター変異株シリーズをNo. 98系統に接種したところ、特定のエフェクター(AvrRS)を欠く変異株でのみ発病が認められた。このことから、No. 98系統はAvrRSを認識する青枯病抵抗性遺伝子を持つと考えられる。AvrRSをツールとして用いることで本抵抗性遺伝子を特定できる可能性が高い。この研究と並行して、phylotype IV青枯病菌に過敏感反応(HR)を誘導するナス系統と誘導しないナス系統を探索し、phylotype IV青枯病菌に対するHRも優性一遺伝子により支配されることを明らかにした。ナスに認識されるphylotype IV青枯病菌のAvrエフェクターについても新規スクリーニング系を開発して特定することに成功した。本Avrエフェクター(HopBF1)を利用して、phylotype IV青枯病菌を認識する抵抗性遺伝子を特定できる可能性が高い。
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