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2020 年度 実施状況報告書

昆虫寄生菌によるハマダラカ行動制御機構の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 18K05668
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

相内 大吾  帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 助教 (50552783)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード昆虫寄生菌 / ハマダラカ / ベクターコントロール / 行動制御
研究実績の概要

本研究は、ハマダラカの宿主探索行動や吸血行動などを抑制する、昆虫寄生菌の行動制御機構の分子基盤を明らかにすることを目的としている。自然界では、寄生者が宿主の行動を操作する行動制御という生物現象が知られている。これまでに申請者は、ハマダラカにおいて、昆虫寄生菌の感染により、感染症の媒介に必須である各種行動が制御されることを明らかにした。本研究課題では、昆虫寄生菌の異なる系統や培養方法を用いることで、この行動制御の発現を人為的にコントロールし、昆虫寄生菌の培養ろ液中に産出される代謝産物の比較解析と行動解析の組み合わせにより、行動制御関連因子および遺伝子を同定することを目指す。
今年度は、新型コロナウイルスの影響で、研究の進捗が大幅に遅れた。加えて、これまでB. bassiana60-2の高病原性を確認した後、培養濾液を用いた研究に集中していたため、b. bassianaの感染実験を長きにわたって実施していなかった。今年度、新たに感染実験を実施したところ、B. bassiana60-2はハマダラカに対する経皮感染力を失っていることが明らかとなった。感染力を回復させるため虫体連続培養を実施したが、感染力は回復せず、新たな投与方法を検討した。その結果、B. bassiana60-2は血体腔インジェクションまたは経口投与で病原性を発現することが明らかとなり、経口投与による感染実験法の確立を進めた。B. bassiana60-2経口投与個体の解剖と蛍光顕微鏡観察により、ハマダラカの後腸および素嚢に菌体が多く存在し、これらの器官から感染が起こることを明らかにした。これまで昆虫寄生菌の経口毒性に関する知見は少なく、これ自体が重要な発見につながった。また、今後はこの経口感染による実験系を運用して研究を推進する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、新型コロナウイルスの影響で、研究の進捗が大幅に遅れた。加えて、これまでB. bassiana60-2の高病原性を確認した後、培養濾液を用いた研究に集中していたため、b. bassianaの感染実験を長きにわたって実施していなかった。今年度、新たに感染実験を実施したところ、B. bassiana60-2はハマダラカに対する経皮感染力を失っていることが明らかとなった。感染力を回復させるため虫体連続培養を実施したが、感染力は回復せず、新たな投与方法を検討した。その結果、B. bassiana60-2は血体腔インジェクションまたは経口投与で病原性を発現することが明らかとなり、経口投与による感染実験法の確立を進めた。以上の理由より、研究期間の延長を申請した。

今後の研究の推進方策

今年度確立した経口投与による感染実験系を運用し、経口毒性に関連する遺伝子および化合物の同定を進める。特にB. bassianaは昆虫病原性細菌の毒素とアナログの配列を有することから、未知の化合物である可能性を考慮しつつ、トランスクリプトーム解析および質量分析を通じて経口毒性因子を同定する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により、残額が生じたため、研究期間を延長して翌年に繰り越した。これらの残額を使用して、次年度中に研究の遅れを取り戻し、当初の研究目的を達成する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Anopheles stephensiに対するBeauveria bassiana分生子および菌培養濾液の経口投与による致死性と感染動態2021

    • 著者名/発表者名
      川翔真, 小池正徳, 嘉糠洋陸, 相内大吾
    • 学会等名
      第65回日本応用動物昆虫学会

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公開日: 2021-12-27  

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