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2018 年度 実施状況報告書

細胞質因子起因の性比異常現象:2種のチョウ目昆虫における原因とその機構の追求

研究課題

研究課題/領域番号 18K05680
研究機関南九州大学

研究代表者

新谷 喜紀  南九州大学, 環境園芸学部, 教授(移行) (50389574)

研究分担者 陰山 大輔  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60401212)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード性比異常 / ガ類 / RNAウイルス / RNA-seq解析
研究実績の概要

2015年9月に宮崎県都城市の南九州大学構内からメスに偏った性比を示すガの一種(ハスモンヨトウ)の系統を採集した.現在まで正常性比を示す系統のオスと交配させて25世代以上にわたって累代飼育してきたが,性比異常は続いている.節足動物では,微生物によって性比異常が起こることが多数の種で報告されており,そのほとんどにおいてメス親から子へ垂直伝搬する細胞内共生細菌が原因因子であることがわかっている.しかし,ハスモンヨトウの性比異常においては,診断PCRの結果から原因因子の候補となるような細菌は検出されず,また,抗生物質処理に対して抵抗性を示したため,非細菌性の因子の関与が示唆された.また,性比異常系統のホモジネート上清を細菌を通さないフィルターで濾過して正常系統に注射したところ,正常系統でも性比異常を示すようになった.これらの結果から,ハスモンヨトウの性比異常の原因因子はこれまでに全昆虫の性比異常を通して報告例の少ないウイルス様因子であると推測され,これに基づいて詳細な研究を進めることにした.
正常系統と性比異常について,摘出したメスの卵巣についてRNA-seq解析を行ったところ,性比異常系統において特異的に高濃度に含まれるRNA配列が見られ,この中に既存のウイルスと相同性の高いものが存在していた.これを性比異常の原因因子ウイルスの候補として扱うこととした.
このRNA配列を基にして作製したプライマーによって,性比異常系統の各ステージにおいて診断PCRを行うと必ず検出されることが確認されている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

性比異常の原因因子がほぼ特定できたので,次のステップへ進められる.

今後の研究の推進方策

性比異常の原因因子がRNAウイルスだと特定できたので,今後は,診断PCRによって他種から同じウイルスが検出できないか,注射によって他種に感染しないかなどを調べる.従来は性比異常が起きることを観察することによって感染を確認していたが,診断PCRでの感染確認が可能になるので,実験が簡素化してスピードアップが予想される.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ハスモンヨトウにおけるメスに偏った性比異常現象の原因因子2018

    • 著者名/発表者名
      新谷喜紀・長峯啓佑・吾郷和也・根本優也・寺尾美里・菅野善明・陰山大輔
    • 学会等名
      日本昆虫学会第78回大会

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公開日: 2021-12-27  

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