研究課題
キヅタミタマバエのゴールを2月、アオキミタマバエのゴールを5月に、いずれも茨城県で採取し、ゴール内の共生菌の分離を試みた。その結果、アオキミタマバエのゴールから、Botryosphaeriaと思われる菌が分離された。ブドウミタマバエについて、これまで得ていた4地点(宮城1、福島2、栃木1)のバーコーディング領域の配列を、日本産のAsphondylia属の記載種(ノブドウミタマバエ、アオキミタマバエ、ダイズサヤタマバエ、ボロボロノキメタマバエ等)および未記載種(テリハノブドウミタバエ等)の配列と比較した。その結果、ブドウミタマバエは2つのグループに分かれた。1つのグループは、どの種や未記載種とも一致せず、独立した種である可能性が示唆された。このグループに関しては、栽培ブドウ以外の寄主植物を引き続き探索する必要がある。一方、もう1つのグループは、宮城で得られたサンプルであり、ノブドウミタマバエのものと一致した。このことから、ノブドウミタマバエの一部の個体群が栽培ブドウも利用している可能性が考えられた。このグループに関しては、ブドウミタマバエとノブドウミタマバエのシークエンスをより多く解析して比較することが必要であると考えられた。
3: やや遅れている
適期に適当なサンプルを採集することが難しく、タマバエのシークエンスや共生菌の分離が十分にできなかった。
引き続きハリオタマバエ類の調査をおこない、寄生果実からの共生菌の採取も試みる。また、アオキミタマバエのゴールから得られた糸状菌の解析をさらに進める。なお、過去に一部解析された共生菌の配列データを入手したので、今後、タマバエの種名や共生菌の情報を整理して検討する。タマバエの塩基配列の比較においては、ノブドウミタマバエとブドウミタマバエのシークエンスを中心に進める。
2019年度はタマバエと共生菌の十分なサンプリングがおこなえず、解析等が十分に実施できなかった。次年度はタマバエのシークエンスの外注や、共生菌の分離・培養を追加でおこない、採取サンプルを増やして十分な解析を実施したい。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Entomological Science
巻: 22 ページ: 437-449
https://doi.org/10.1111/ens.12389