本研究は沖縄各地の遺跡より発掘されるジュゴン骨の古代DNAを対象とし、遺伝的多様性の推定を目的とした。沖縄県の遺跡から出土した骨試料を対象に実験を行なった結果、数十塩基対程度の古代DNAを抽出に成功した。本ミトコンドリアDNAデータと海外データを比較したところ、少なくともフィリピンを除く他海域集団とは異なるSNPを持つという結果が得られた。一方、NGSによる分析を試みた結果、対象由来のDNA回収量が予想を超えて遥かに微量であったことが影響し、詳細な分析が困難であった。2021年度からの研究課題では、ジュゴンのゲノムデータ取得と利用を予定しており、NGSによる詳細な分析の実施ができると考える。
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