今後の研究の推進方策 |
ノックインマウス(ROSA26-CTIG-KIマウス)について繁殖を行い、F2世代でホモのKIマウスを得る。これらのKIマウス由来の各ステージの初期胚(1-細胞期胚、2-細胞期胚、8-細胞期胚、桑実期胚、胚盤胞)を種々の保存液(トレハロース、エピカテキン、アスコルビン酸を種々の濃度で含むPB1, M2, Tris-EGTA, mCZB-hepes)に浸漬し、真空乾燥及び常温保存(1~14日間)を試み、復水後に生存性を確認する。なお、常温保存胚の復水には、蒸留水、PB1, M2, Tris-EGTA及びmCZB-hepesを用い、これらの有効性を確認する。また、形態的に正常で、生存が認められた胚については、偽妊娠を誘起したレシピエントマウスの卵管あるいは子宮内に移植し、胎児への発生を確認する。 一方、各ステージの体外受精由来マウス初期胚(1-細胞期胚、2-細胞期胚、8-細胞期胚、桑実期胚、胚盤胞)を、前述した種々の保存液中に浸漬し、エレクトロポレーションを行った後、真空乾燥及び常温保存(1~14日間)を行う。保存後、保存胚を復水処理を施し、生存性を確認する。形態的に正常で、生存が確認された胚は、偽妊娠誘起したレシピエントマウス卵管あるいは子宮に移植し、胎児への発生及び正常性を確認する。更に、移植後、得られた常温保存胚由来産仔については、離乳後、繁殖を行い、妊孕性及び正常な子孫が得られることを確認する。 これらの真空乾燥・常温保存胚が、復水後に正常な形態を維持していない場合、胚の透明帯、細胞膜、オルガネラ(核、小胞体、ゴルジ体、エンドソーム、リソソーム、ミトコンドリア)及び細胞骨格の変性及び破壊が考えられる。そこで、まず、核の正常性を確認するために、予め、脱核した新鮮なマウス未受精卵へ真空乾燥・常温保存胚由来の核を移入し、核置換卵を作製し、移植することにより発生の正常性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品費として、マイクロチューブ、チップ、カルチャーディッシュ、インジェクション/ホールディングピペット用ガラス管、胚操作ピペット用ガラス管、試薬(トレハロース、エピカテキン、アスコルビン酸、Tris-EGTA、ローダミンデキストラン、Cas9蛋白質)、培養液・緩衝液(CARD medium, Fertiup, Modified Whittin’s medium, PB1, M2, mCZB-hepes)、sgRNA及びドナーベクターの設計・構築並びに動物代(マウス)に支出したが、sgRNA及びドナーベクターの再構築及びノックインマウスのシークエンス解析に長時間を要したため、実験が予定通り遂行できなかった。 (使用計画)物品費は、マウス飼育料、マイクロチューブ、チップ、カルチャーディッシュ、試薬(トレハロース、エピカテキン、アスコルビン酸、Tris-EGTA、性腺刺激ホルモン;PMSG, hCG、ローダミンデキストラン、流動パラフィン、性腺刺激ホルモン;PMSG, hCG、PCRキット等)、培養液・緩衝液(CARD medium, Fertiup, Modified Whittin’s medium, PB1, M2, mCZB-hepes、エレクトロポレーション用緩衝液)、動物代(マウス)などの購入に充てる。また、得られた研究成果は、日本実験動物学会等に発表する予定である。
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