研究課題/領域番号 |
18K05705
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
奥 敬一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60353629)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文化的景観 / 視点場 / 本質的価値 |
研究実績の概要 |
砺波平野の事例 富山県内の代表的な文化的景観である砺波平野の散居村を対象として、重要な景観要素である屋敷周囲の石垣について河川環境との関わりに伴う地域差を明らかにした。河川との距離、および過去の河川環境との関係が異なる3集落を対象に石垣の種類や形状の分布を調査したところ、石垣の設置方位には明確に河川との関係を見てとることができ、また積み石の種類や積み方に関しては、特に玉石の利用について明確な地域差を見出すことができた。 散居村にといて石垣が見られる景観は、その場所の自然環境や来歴を明確に反映していた。玉石が卓越する地域は河川にほど近いか、かつて河道があった場所が近いと考えることができる。またその石垣がどの方位に多く設置されているかによって、防災的な示唆も読み取ることも可能である。したがって砺波平野において石垣は、その地域がどの程度河川と深い関わりを持ってきたのかを示す指標のような存在であり、視覚装置として文化的景観の本質を伝える重要な要素であると結論づけた。 越前オウレン栽培地の事例 越前オウレンの栽培地の文化的価値について明らかにした内容をもとに、「越前オウレン栽培技術の文化的価値」(『林業遺産 保全と活用に向けて』柴崎茂光・八巻一成編、東京大学出版会)として研究成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により出張が依然としてしにくい状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
近県の文化的景観におけるケーススタディを積み上げることで目標を達成したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画未達成の出張調査、および資料の入力整理人件費等に充当予定。
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