研究課題/領域番号 |
18K05706
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐々木 邦博 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (10178642)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 城下町 / 水路網 / 庭園群 / 伝統的景観 / 記憶の継承 / 保存計画 |
研究実績の概要 |
本研究は都市固有の景観を形成している要素として、城下町に残る水路網、池がある庭園、緑の景観に焦点を当て、その地域固有の景観の保全状態の課題を調査して整理し、その名残や記憶の残し方がどうなされているのか、調査研究していくものである。 今年度は、名残や記憶の活かし方に焦点を当て、調査を行った。水路網や池庭に関する説明板がどこに設置され、どのような内容が説明されているのか、各対象地で調査を行った。しかし、新型コロナの流行拡大のおかげで、調査は長野市松代町、長野県に近い群馬県甘楽郡甘楽町小幡の2カ所しか行うことができなかった。残念ながら、金沢市や福岡県柳川市、朝倉市秋月の調査は、令和3年度に繰り越すことになった。 長野市松代町では、特に歴史的環境が残っている伝統環境保存区域の4町で調査を行った。その結果、24個の説明板が配置されていた。水路網に関する説明板は2個しかなかった。一つは、長野市が所有し一般公開されている山寺常山邸の庭園内にあった。もう一つの説明板だが、松代の水路網の特徴である泉水路の説明板であり、馬場町遊園地内に設置されている。庭園の説明板だが、一つだけであり、山寺常山邸の庭園内にあるものだけであった。少ないし、道沿いにもあるのが望ましいと考えられる。 群馬県甘楽郡甘楽町小幡に残る城下町では、訪れる人のために、城下町の町歩きコースが設定されている。その城下町と水路をめぐるコース沿いの説明板を調査した。44個の説明板が設置されていた。水路網に関する説明板は8個あり、しっかりと説明されている。水路から水を供給されている池庭に関する説明板は、6個あった。小幡で特筆されるのは、説明板の形態である。幾つかのパターンがあり、そのパターンで町案内か、文化財の説明か、ある程度わかる。工夫されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大により、予定していた調査を行うことができなかった。 金沢市、福岡県柳川市、福岡県朝倉市秋月の城下町である。いずれも城下町時代から形成された水路網が残り、その水路から水を取り入れた庭園が残されている。これらの町でも、長野市松代町と同様に、伝統的景観を構成する要素の重要な一つである庭園が失われつつある。現状は調査しているが、それをアピールし説明する説明板の調査が必要であり、今年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
私は65歳以上なので、もうすぐワクチンの接種ができる。2回のワクチン接種後で、感染状況が落ち着いた時に、調査を行う。 また日本庭園学会全国大会が6月にWEBで開催されるが、1回目の発表を行う。その後、研究論文として投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究調査が新型コロナウィルスの感染流行のおかげで行えず、令和3年度に持ち越された。調査費用と研究発表用の費用である。
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