近世末期から近代にかけて日本のいくつかの地域において、地域独特の意匠をもつ庭園群がつくられた。本研究で主な対象とした出雲地方には、住宅などの座敷に面する平坦地を白砂敷きとして、短冊石という細長い長方形の切石や円形の石を飛石に用いて主景とする庭園が数多くあり、それらの意匠が現代も地域に深く根付いている。 このような特徴について研究した結果、先行研究で指摘されたように、気象条件や茶道の普及に起因して、飛石・手水鉢の形状・配置、燈籠の意匠・石材、樹木の仕立て方等に特徴があり、それが研究者や庭師・造園業者に地域性として認識されていることや、作庭書や地域の名園の影響がうかがわれる事例があることがわかった。
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