本研究では、冬から春にかけての気温の上昇に伴って樹木の組織で見られる細胞の耐寒性の低下機構について、シラカンバおよびブドウを材料として調べた。ソルビトール溶液で脱水ストレスを与えたシラカンバの木部柔細胞の温度上昇への応答を調べたところ、凍結環境で起こる脱水ストレスは耐寒性低下につながる温度感知に関与しないことを示唆する結果が得られた。また、ブドウの冬芽は過冷却をすることで凍結温度に適応し、厳冬期の冬芽は氷点下数度から耐寒性の低下が起こることを明らかにするとともに、耐寒性の低下に道管形成が関与する可能性を示した。
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