本研究では、本邦在来の陸生スゲ類に着目し、山岳地帯の自生種のスクリーニングを行い、砂れき地・崖地に分布していて土質を選ばず生育・繁殖可能な2種(ヒメスゲとアブラシバ)を選抜した。土質の異なる切土のり面での緑化試験において、地上部と地下部の成長と群落化の様相をモニタリングし、外来イネ科牧草に代替できる成長特性をもつことを明らかにした。しかし、両種とも耐陰性に劣ることが明らかとなり、適用が植生遷移の初期に限られる可能性が示唆された。より長期的にみて、植生遷移が進み上層を高茎草本や樹木に覆われた場合に生育できる陸生スゲ類の探索が新たな課題となった。
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