本研究では、十数年にわたって兵庫県域スケールで観測してきた3種のブナ科樹種の豊凶データとツキノワグマの出没情報データを用いて、ブナ科堅果の豊凶から秋季のクマの出没レベルを予測する統計モデルを構築した。まず予測に当たっては、単一樹種よりも複数の樹種の豊凶を考慮した方が予測精度が高くなることが明らかとなった。3種の堅果の豊凶を考慮した県域スケールの出没予測は、実用上有用な精度を持つことが示された。市町別の予測では、市町間で予測精度に大きな相違があることが示された。このような市町間の精度の相違には、市町間でのブナ科樹種の種構成の違いなどが影響していることが示唆された。
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