研究課題/領域番号 |
18K05736
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
荒木 眞岳 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353564)
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研究分担者 |
壁谷 大介 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353650)
阪田 匡司 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353701)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スギ / 乾燥 / 樹液流速 / 幹呼吸 / 土壌呼吸 / ヒノキ / 温暖化 |
研究実績の概要 |
最終年度は、約3年間にわたるスギ林における降雨遮断処理に伴う土壌の水ポテンシャルと含水率のデータを整理し、土壌水分変化量と大気飽差との関係を解析した。その結果、両者の関係は負の相関にあったがその傾きは乾燥が進むにつれて緩やかになること、すなわち土壌の乾燥に伴いスギ成木の蒸散が低下することが明らかとなった。 補助事業期間全体を通じ、乾燥ストレスがスギ成木の幹呼吸におよぼす影響を解明するため、スギ林における降雨遮断実験を行い、土壌の水分条件、スギの樹液流速、幹肥大成長速度、土壌呼吸、および土壌中のCO2濃度などを約4年間測定した。その結果、降雨遮断によって土壌は強く乾燥し、それに伴いスギの蒸散速度、土壌呼吸速度、土壌中のCO2濃度が低下することを明らかにした。幹肥大成長への乾燥の影響は顕著ではなかった。一方、コロナウイルスの影響もあり、幹表面からのCO2放出速度と木部内CO2濃度の測定は予定通りに進まず、本来の目的である乾燥ストレスがスギ成木の幹の呼吸に及ぼす影響は明らかにできなかった。 そこで、約50年生のヒノキを対象に過去に取得したデータを用い、気候変動にともなう温暖化が幹の維持呼吸速度に及ぼす影響を明らかにすることを目的として解析を行った。その結果、幹の維持呼吸速度は温暖化(気温の上昇)にともない増加するものの、呼吸速度の温度依存性を表すQ10の値が従来モデルのように年間を通じて一定である場合に対して、Q10が季節変動する効果(呼吸の温度順化)を組み込んだ場合の方が、その増加量は少なくなることが明らかとなった。
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